更新日:2023年03月28日 09:39
お金

50万のロールスロイスを実質10万で乗っていた“中古の達人”が目利きで失敗した話

20万円のユーノス・コスモで10万円の損

 実は、代行業者の人から「内装がかなりひどいので、やめときますか?」と言われたのですが、「内装ぐらい自分で張り替えれば良い」と思い、購入する決断をしてしまったのです。  数日後、コスモに乗り込んだ私は驚愕しました。内装は予想よりもひどく、シートを張り替えるぐらいではなんともならなそうなのです。それでいて、車内には独特のいやな臭いが立ち込んでいて、その臭いが服にもコビリつくのです。さらに、エンジンの調子も悪かったようで、ハンドルをきるとエンストしてしまう状態。ブレーキも効かず、高速道路を走っていても、途中でクルマが分解してしまうのではないかと感じるほど、全体的にひどい状態でした。

比較的程度の良いコスモの内装。写真で見るとそこそこキレイだが、実物は「やや残念」という印象

 オークション代行業者に、クレームを入れて返品したいといいましたが、その時既にクレーム受付期間が終了していたのです。  仕方がないので、しばらく乗ることにしたのですが、乗るたびに嫌な臭いが服にこびりつくので、あまり乗る気にもなれません。ハンドルを切ったらエンストするのは、ロータリーエンジンの圧縮比がだめになっているからで、それを直すにはオーバーホールしかなく、費用は50万円以上かかるとのこと。内装については、ほぼ絶望的で、シートの革を張り替えたとしても、その他のダメな部分を直すのは困難で、直せたとしてもかなりな費用がかかることがわかりました。それでいて、嫌な臭いは消えるかどうか不明。  このコスモの経験からからわかったのは、ダメになったクルマを再生するということは、かなり大変なことだということです。結局、買ってから1か月の間、ほぼ乗ることがなく、私は再度オークション代行で売る決断を下します。

ユーノス・コスモは手を出してはいけない中古車だった……

 しかし、最低落札価格を安くしたにもかかわらず、そのコスモは、結局「流れ」になってしまい、オークションでも売ることができませんでした。最終的には、代行業者の知り合いが10万円で買ってくれることとなったため、無事売却することができたのですが、結果的に私は1か月で10万円の損をしたのです。  さて、それから3年後、私は懲りずにユーノスコスモを買おうとしたことがありました。その際、見たのはかなり程度が良さそうな20BのタイプEだったのですが、その内装を見てわかったことがあります。それは、そもそもユーノスコスモというクルマの内装は、かなり痛みやすいという点。

4本出しマフラーは、3ローターエンジンを搭載する20Bの特徴

 比較的程度が良い状態のクルマでも、「見るからに中古車」というように、疲れた内装が多いのです。ユーノスコスモというクルマを新車に近い状態で乗ろうとすることは、実はロールスロイスよりも大変だということを、私は初めてわかったのです。  5万km以下の走行距離というクルマでも、コスモの痛み方は、同時代のベンツやトヨタと比べると驚くほど激しいため、いわゆる“キレイなクルマ”を探すのはほぼ無理だと思います。もしも綺麗なユーノスコスモがあったならば、おそらくそのクルマは、新車時から車庫で保管され、ほぼ乗ることがなかったような個体でしょう。  しかし、それでも、エンジンの圧縮比が下がっている可能性は否めず、オーバーホール代として100万円単位を覚悟しなければなりません。教訓としていえるのは、一度ダメになったクルマは再生するのが難しいため、程度の良い中古車を選ばなければならいということ。ただ、様々な事情により、程度が良いモノを探すのが困難な車種が稀に存在することがあるということです。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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