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うつ病と診断されたら負け組? 会社に退職を迫られる39歳商社マン

[令和版]負け組の衝撃

精神疾患全体の中でも、うつ病を含む気分障害患者は特に激増。一般化したことで、受診するハードルが下がっていることも要因(データの出典:厚生労働省「患者調査」より)

急増するうつ病復帰者は、会社の中で負け組なのか?

 厚労省の患者調査によれば、うつ病の患者数は’96年に43万人から、’17年に127万人と21年間に3倍になったとのこと。以前よりもその言葉の定着や、精神科受診に対する心理的ハードルが低くなっていることも原因とみられる。  しかし、「一度診断を受けたら職場復帰はかなり険しい。うつ病復帰者は令和時代の新型負け組になる可能性があります」と高井氏は語る。 「確かにメンタル不調での休職は、この10年でかなり一般化しました。多くの企業で産業医と連携した『復職プログラム』が整備され、休職による人事評価の低下や、『メンタルが弱い』などのレッテル貼りは、以前より行われなくなっています。  しかし、まだまだ組織側が対応できることには限界がある。どうしても周囲から腫れ物に触るような扱いを受け、連携を取るのも難しくなってしまい、復職しても本来のパフォーマンスを発揮できない、なかなか社内の主流、出世コースに戻れないというジレンマが発生します。残念ながら復帰者の9割は、部署や役職含め休職前の状況には戻れません」  当然、慣れない部署に配置転換されれば、心の負担は強まってしまい、うつを再発してしまうケースも実際多いという。 「残ってもまた病むだけとわかっているんで、僕ら人事部も『転職』を勧めることも多い。会社にとって自分が必要でないという現実は確かに受け入れ難いことかもしれませんが、そこに固執しても本人的にも会社的にも先はない。配置転換が難しい総務や専門職には、僕は個人的にも転職を強く推奨します」  環境を変えるには、確かに会社を変えるほうが早い。しかし、いまだメンバーシップ型文化が根強い日本企業では、会社を辞めたがらない人がほとんどなのだとか。 「メンタルが弱っているときの転職が高負担なのもわかりますが、特に役職者や専門職者はプライドも高く、再発を繰り返し休職が長引くケースが多い。ジョブ型への転換を推進したい『働き方改革』の理想と現実のギャップを実感します」  人生100年時代、心身の健康を優先して職を選びたい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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