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ウクライナがロシアに降伏すべきでない理由/倉山満

今の事態は中立義務の発生する「戦争」ではないと言い張る

 それでも相手が核兵器を持たない小国相手ならば、アメリカ主導で多国籍軍を編成、侵略をやめさせ政権を打倒する、くらいはやれるからいいだろう。事実、(かつてイラクのサダム・フセイン相手にそれをやった。しかし、相手は核兵器を保有する大国だ。下手な立ち回りをすれば第三次世界大戦になりかねない。  だから「表立ってウクライナと一緒に戦う」以外のあらゆる手段を使っているのであり、表向きは中立を装っている。そもそも、今の事態を中立義務の発生する「戦争」ではないと言い張っているのだ。  バイデンは、つくづくポンコツだ。このように国際社会では、武力・財力・知力のあらゆる手段を使って駆け引きが行われている。情報戦もそうだし、国際法も自分の身を守り、敵を攻撃する武器なのだ。ただし国際法は、自らの身を守れない者を保護してくれない。

ウクライナがロシアに降伏して、何かいいことがあるのか

 さて、ウクライナがロシアに降伏して、何かいいことがあるのか? 自分を殴っている相手に自らの生殺与奪の権を委ねる。殺されるだけではないか? 国が殺されるとはどういうことか。男は奴隷にされる。現に、ロシアに捕まったウクライナ人の少なからずがシベリア送りにされている。女は犯される。降伏するとは、殺され、犯され、奴隷にされることなのだが、それでいいのか?  事実、プーチンはそれを実行してきた。そんな国が日本の隣にある。  では、どうするか?  殴られないようにするには、軍事力をつけるしかない。ドイツは「防衛費をGDP2%にする」と宣言したが、最低の数字だ。それを可能にする経済力もつけねばならない。  何より知力。殺されないようにするにはどうすればいいか、考えよ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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