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「死にたい」とSOS。“西成の大家さん”が見た「生活保護を知らない」極貧に苦しむ人たち

生活保護を知らない人がほとんど

「生活保護という制度は聞いたことはあれど、受けるための要件や、どんな扶助(助け・力添え)があるのか詳しく知らない人がほとんどです。生活保護は、病気・けが・障がいや離婚・失業などの事情により収入や貯蓄がなくなって困ったとき、生活を保障する制度で、憲法第25条の『健康で文化的な最低限度の生活』を保障する国民の権利です」(坂本さん)  生活保護の扶助は8種類あり、住宅扶助は困窮によって最低限度の生活を維持できない人に対して、家賃などの住宅維持費を給付する仕組みだ。 =================== ●どのような方が生活保護を受けられるか(生活保護の要件について) ・働くことができない、又は働いていても必要な生活費を得られない。 ・不動産、自動車、預貯金等のうち、直ちに活用することができる資産がない。 ・年金や手当、保険など、他の制度を活用しても必要な生活費を得られない。 ●扶助の種類 生活扶助……衣食その他日常に必要な費用 教育扶助……義務教育に必要な費用 住宅扶助……家賃、地代、住宅補修費等に必要な費用 医療扶助……医療に必要な費用 介護扶助……介護に必要な費用 出産扶助……出産に必要な費用 生業扶助……生業、技能習得に必要な費用や高等学校に就学するために必要な費用 葬祭扶助……葬祭に必要な費用(被保護者が喪主の場合に支給されます) ※出典:大阪府「生活保護制度について」より =================== 「私が相談に乗った母子ですが、お子さんはいったん児童相談所 に引き取られたものの、お母さんが仕事を探して社会復帰して、数年後には迎えに行くことができました。このように住むところに困った人たちを、何とか助けたいと思いました」

大阪府で初めて指定を受けた住居支援法人

 この母子との出会いは2010年。その3年後、坂本さんは25歳で生活困窮者向けに支援を行うNPO法人を立ち上げる。  前述の母子のような状況にある人を、住宅確保用配慮者と定義し、こうした人たちの相談に乗って住居提供する大家さんにつなげる会社を、「居住支援法人」として自治体が指定する制度ができたのは2017年。「生活支援機構ALL」は住宅支援の最古参法人で、これまでに1万人以上から相談を受けている。 「うちは大阪府でもっとも早く居住支援法人の指定を受けています。居住支援業務を具体的にいうと、住宅確保要配慮者が部屋を借りるに当たっての相談や情報提供、見守りなどを行います。住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を必要とする方々です」
国土交通省

要配慮者の入居を拒まない住宅(出典:国土交通省)

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家を借りたくても借りられない人たち
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