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「死にたい」とSOS。“西成の大家さん”が見た「生活保護を知らない」極貧に苦しむ人たち

家を借りたくても借りられない人たち

坂本慎治

坂本さんが紹介する部屋はキレイにリフォームされ、冷暖房完備で風呂・トイレ付

 要件を満たしていれば、申請して受けられるはずの生活保護だが、自分の力では生活保護を受けられない人もいる。生活保護がなければ住宅扶助も受けられないため、坂本さんはそうした人のため手を尽くす。 「住むところに困っている人の中には、借金だらけで家賃保証会社のブラックリストに載っている人。大声を出したり暴れてたりして迷惑を及ぼす人。名前検索したら出てくる犯罪者や元暴力団員。その多くはトラブルを起こしてばかりで家族からも見捨てられた人もいます。このように借りたくても借りられない人と、住宅を貸し出してくれる理解ある大家さんをつなぐ役割をしています

借金漬け、アルコール依存症などのトラブルも

坂本慎治

アルコール依存症の入居者が倒れた部屋

 大家さんにはリスクとメリット、トラブル事例もあらかじめ説明して理解を得る。これまでのトラブルでいえば部屋で大騒ぎして、ほかの入居者が退去してしまう。部屋で暴れて内装を壊してしまう。中には扶助費をギャンブルでつぎ込んでしまうような人もいた。 「借金を重ねてアルコール依存症になったあげく、借りた部屋の内側からチェーン閉めて閉じこもってしまった人がいました。室内で倒れて気づいた元奥さんが通報しなかったら、そのまま亡くなってしまうところでした。ほかにも薬物依存で警察に捕まる人も。ちなみに警察に捕まれば生活保護は打ち切りです。みんながみんがこのようなトラブル起こすとは限りませんが、大家さんにはこうしたリスクがあることを覚悟してもらう必要があるのです」
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後を絶たない貧困ビジネス
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