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「死にたい」とSOS。“西成の大家さん”が見た「生活保護を知らない」極貧に苦しむ人たち

後を絶たない貧困ビジネス

坂本慎治

生活困窮者の支援を行う坂本さん

 インターネットに情報が溢れる世の中だが、ネットだけでは見えてこない現実がある。生活に困った人を狙った貧困ビジネスも後を絶たない。 「きれいに作られたホームページでも、怪しいところはあります。主宰者の顔が見えない。ケータイ番号しか載せていないところ。無料定額宿泊所を餌に人を集め、生活保護費を搾取するような業者もいます」  無料定額宿泊所とは「無料または低額で宿泊できる施設」のことで、政府への届出によって設置ができる。良心的な無料定額宿泊所もあるが悪質な施設もあり、2~3畳の部屋の部屋に共同トイレ・共同風呂という劣悪な環境で、家賃のほか光熱費や食費、家具什器リース代という名目で、生活保護費の11万5000円のうち10万円支払うような貧困ビジネスを行っている施設もある

生活保護のスカウトマン「拾い屋」が暗躍

坂本慎治

坂本さんが建て直す前の物件、その①

坂本慎治

坂本さんが建て直す前の物件、その②

 そこで就職のあっせんが行われているわけでもなく、手元に現金がないため就職活動もできない。 「こうした手口の貧困ビジネスは関東に多いと聞きます。関西では『拾い屋』と呼ばれる生活保護のスカウトマンが暗躍しています。貧困者の間に『大阪にきたらどうにかなる』という認識が浸透してきたこともあり、なんばや梅田といった大阪の主要な街に出没し、キョロキョロしながら歩いている貧困者が狙われています」  道端はもちろんのこと、パチンコの喫煙所などにもいるようで。「住むところがないんですか?」と声をかけられる。坂本さんは警告する。 「大阪にも3~4社あると聞いています。関西の場合は、家具什器リース代、サービス料といった名目で3畳一間、共同風呂トイレ共同キッチンにかかわらず、家賃を5万円もとるような手口です。そのような施設に入ってしまうと、搾取されるだけですから、『貧困ビジネスに気を付けて!』と声を大にして言いたいです」
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若い人こそ、思い悩まず頼ってほしい
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