大手書店チェーンの万引被害は年間推定4億円!? 「まんだらけ事件」から見えた書店の悲鳴
東京都中野区の有名古書店「まんだらけ」店頭から、8月4日、販売価格27万円のブリキ製人形が万引された。これを受けて同店は、翌日、防犯カメラに写った犯人の画像をモザイク付きで公開。商品を返還しなければ、モザイクを外して素顔をネットに晒すと激しく警告したのである。
警視庁は「捜査に支障が出る」として、素顔の公開中止を要請。結局犯人は逮捕された。
新聞・テレビ・ネット上では賛否両論が飛び交ったが、同じく万引被害に悩む書店関係者はこの事件をどう見ているのか。
「転売目的での万引は多い。うちは近隣の古書店と提携して、何度も新品の人気コミックを売りにくる怪しい客の情報を提供してもらうようにしています」(神奈川の書店チェーン社員)
薄利多売の書店商売は、1冊万引されると、5冊売った分の利益が吹っ飛ぶといわれる。ただ、犯人逮捕は、現行犯以外は極めて難しいようだ。
「まんだらけの場合は警察の助けを得られた超レアケースですよ。書店は扱う物量が多いため、現行犯で捕まえられるのは、実際の被害の1%程度。1000円程度の被害届を警察に出していたら仕事が回りません」(都内の独立書店店長)
だが、チリも積もれば山となり、大手書店チェーンの場合、損失は億単位になるという。
「当社では年間推定3億~4億円の万引被害に遭っています。当社では私服保安員を雇うなどの万引対策で、年間2億円が出ていきます。数年前、某書店が万引犯の顔写真を店頭に掲示したら、万引はびっくりするほど減ったそうです。人権も大切なのはわかりますが、書店員としては顔を公開してほしかったところです」(全国書店チェーン幹部)
人権意識と書店経営、その狭間で頭を痛めずにすむ日は来るのだろうか。
取材・文/SPA!裏読み特捜班
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