お金

300万円で買って300万円で売れた初代NSXは今ならいくらで売れたのか?

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。どケチな私は、お得に生きることをモットーとしているのですが、「単なるケチ」ではなく、「快適なケチ」を目指しています。

斉藤由貴生

「ケチ」といえば、極力お金を使わないというイメージがありますが、私の場合、平気で高いモノを買っています。以前の愛車はロールスロイスですし、今着けている腕時計はパテックフィリップ。これら2つのブランドは、それぞれ頂点に立つ「最高級ブランド」として知られていますが、私はケチってこれらを楽しんでいます。  しかし、ケチと高級という要素は、本来相反する要素です。私は、どのようにしてこれらを結びつけたのかというと、「売る」ということにより、それを実現させたのです。  通常、人はモノを買うとき、「買う」値段だけを意識します。しかし、私にとっては「買う」ほうの値段はどうでも良いのです。では、私が最も重視する値段とは何なのかというと、それは「いくらで売れるか」ということなのです。  つまり、買った値段と同額かそれ以上で売れるのであれば、実質消費額がゼロとなるわけです。こういったことにより、私はこれまで誰もが憧れるような高級品をどケチにお得に所有してきました。

買った値段以上で売るのが難しいのがクルマだけど……

 そんな私は、ホンダのNSXというクルマも所有したことがあるのですが、最近の値段を見てびっくりしています。
初代NSX

平成4年式、ゼブリングシルバーのNSX。デビュー直後の平成2年や3年式の個体が多いが、前期型としては高年式にあたる平成4年モノがたまたま安く手に入った

 かつて私はNSXを約300万円で買って、約300万円で売ったため、それに満足していました。しかし、もしも今まで乗り続けていたならば、買った値段より高く売れる可能性があったのです。  私の著書『もう新品を買うな!』にも書きましたが、クルマの場合、買った値段以上で高く売るということはかなり困難です。なぜならクルマは、走行距離が増えると安くなるのはもちろん、古くなっても安くなるため、乗っても乗らなくても、持っているだけで価値が下がるのです。  ですから、クルマの場合、「買った値段-売った値段」の差をいかに小さくするかということが基本的には重要です。  しかし、このNSXというクルマは、一般的なクルマとはまったく違う値動きをしています。10年少し前の価格より、今の価格のほうが圧倒的に高いのです。  そのため、たとえ距離を乗ってしまっていても、過去に買った値段よりプラスで売れる可能性があったのです。
初代NSX

車体前後で幅が異なるため、駐車時に枠内にキレイにいれるのが難しかった。また、ミラーは電動格納ではないため、駐車時は手動で折りたたまなければならず面倒

 当時私が乗っていたNSXは、修復歴なし、AT、走行距離5万km台という個体でしたが、私の場合年間1万km程度は乗るため、もしも今まで乗っていたならば走行距離は15万km以上になっていたでしょう。  最近、私はクルマを1台売ったのですが、その際、フレンドリーな買取店の人が、オークション相場を私に見せてきました。そこで、NSXの相場を見せてもらったのですが、10万km以上の個体でも、現在業者間ですら、300万円以上という相場で取引されていました。  もし、私が売らずにずっとNSXに乗っていたならば、10年乗っても実質0円だった可能性があるのです。
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NSXを10年間維持するのは大変だったのか?
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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