更新日:2020年06月10日 22:06
ライフ

ネットカフェの“ゴミ屋敷化した半個室”に3年住む、37歳日雇いの窮状

 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円台の人たちは、過酷な環境下でどのような夏を過ごしているのか。全国各地で新たに生まれている貧困の現場をリポートした。
ネットカフェ

ネットカフェに長期滞在する山北辰治さん(仮名・37歳)。個室はゴミ屋敷化していた…

超激安で「難民」が定住。悪臭漂うネットカフェ

 生活に困った難民の避難所として、もはや定番化したネットカフェ。 「ネットカフェ難民」という言葉が生まれて約10年が経過したが、現在も都内だけで約4000人いるという(東京都福祉保健局の’17年報告書より)。  なかでも某所には、難民が集う店がある。格安の利用料金をうたうA店では、1週間で1万円台のコースもあり長期利用者を受け入れている。  古い雑居ビルに店を構え、部屋は平日の昼でも半分以上が埋まり、寝っ転がれるフラットシートは満席。受付ではブルーカラー風の中年男性が出入りしている。  住環境は安かろう悪かろう。吹き抜けの半個室にプライバシーはなく、衣類や日用品が散乱しているのが丸見えで、ゴミ屋敷化した部屋も目立つ。当然音も筒抜けで、食事の咀嚼(そしゃく)音や、咳き込む人に「うっせぇな」と怒号も聞こえてきた。何よりも耐えがたいのが臭いだ。エアコンはまともに機能せず、男の汗、ホコリ、カップ麺などが混ざった悪臭が、蒸し暑さでさらに強まる。空気の悪さから記者は体もかゆくなってきた。 「この空気に慣れるには1か月かかりますよ」と話すのは、山北辰治さん(仮名・37歳)だ。 「住み込みで建設現場の仕事をしていたんですが、体を壊して出ていくはめになり、住めるネカフェを調べてココを見つけました。初めは落ち着かないし、いびきがうるさくて眠れなかったです」
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“女性”もいるネットカフェ
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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