失踪した警察官「出世より注目浴びたかった!?」
24歳にして巡査部長試験に一発合格。順風満帆に出世コースを邁進し始めたかにみえる警察官は、勤務中にこつ然と姿を消し、現金300万円と実弾入りの拳銃を持って新幹線へ飛び乗った――まるでサスペンスドラマのような設定だが、実話だ。
大型台風が接近する前夜だった、10月15日。
警視庁・綾瀬署の中央本町署に配属されていた小林秀正容疑者(24)は勤務中、制服姿のまま失踪した。持っていた無線機や制帽、制服は脱ぎ捨てられ、実弾5発入りの拳銃を所持したままの逃避行であることから、「何か大変なことをしでかすのでは」と大騒ぎになった。
捜査関係者が語る。
「容疑者が持っていた無線は荒川で引きちぎられた状態で発見され、制服も東京駅のトイレで脱ぎ捨てられていた。調べると逃走前に300万円もの大金を下ろしており、誰かを殺すための失踪ではないか? と疑われていました」
警視庁が大慌てとなった背景には、小林容疑者の華麗な経歴もある。父が検事というエリート一家で生まれ育ち、明治大学を卒業後、警視庁に入庁。巡査部長試験に一発合格し、若くして幹部候補生と目されていたからだ。
「24歳で巡査部長は、大卒で最短コース。そのまま行けば20代後半で警部補、30代で警部とトントンで出世していったでしょう。それだけに、プッツンしておかしくなってしまったのでは? と、大事件への発展が懸念されたのです」
だが、調べが進むにつれ、幼稚とも奇行ともいうべき行動が浮かび上がってきた。前出の捜査関係者が呆れながら語る。
「荒川で発見された無線機をよく調べると、激しく引きちぎられてはいるものの、足あとは小林本人のものだけ。東京駅で脱ぎ捨てた制服にしても、駅員さんに小林自ら『制服が落ちてますよ』と声をかけていたことがわかっています。
結局、失踪から3日後に宇都宮のホテルにいることがわかり、逮捕されたのですが、ここも土地勘がない場所。所持品には目出し帽もあったのですが、捕まるリスクを高めてでも、何か目立つことがしたかったのでしょうね」
当初、完全黙秘の姿勢を貫いていたという小林容疑者だが、現在ではポツポツと供述を始めているという。
「実弾持っての銃刀法違反となれば、執行猶予はつかないのではないか。黙ってれば、ノンキャリでは一番の出世頭になれただろうに……」
幹部候補生から一転して、犯罪者に堕ちた小林容疑者。捜査関係者のつぶやきが、虚しく響いた。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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