飼い主が孤独死したら…愛するペットはどうなる?
ここ10数年で日本は総人口に対して65歳以上の割合が21%以上となり、WHO(世界保健機関)が定義する超高齢社会に突入。この高齢化により潜在的にエンディングに関する不安を感じる人が増え、“終活”という取組が注目されている。最近の“終活”ではどのような相談が多いのか?
「そもそも、終活カウンセラーは専門的な知見を活かし、葬儀・介護・相続など多岐に渡る項目をまとめ上げ、理想のエンディングノートを制作する仕事。死期が分かっている方は少ないので、長いお付き合いになる相談者が多いです。最近では『ペットのお墓は?』、『自分の死後、飼っている犬はどうなるのか?』など、ペットに関係した相談が増えています」
そう語るのは上級終活カウンセラーのKさん(36歳)。内閣府の2010年調査では、ペットを飼ってる世代で最も多いのは60代(36.4%)、次が70代以上(24.1%)となっている。そして、ペットの寿命はペットフード協会の調査によると犬全体の平均寿命は13.9歳、猫全体は14.4歳と決して短命では無い。
「孤独死した老人の隣でペットが餓死寸前。そんな光景は日常茶飯事ですね」
葬儀社経営のHさん(41歳)はそう言って吐息を漏らす。飼い主が孤独死すれば、ペットも道連れ的に息絶えてしまう。そんな状況のなか、新しい終活サービスが登場している。
◆ペットも一緒に入れる霊園が流行
15年前はペットと一緒に埋葬できる霊園は“ペット⇒動物”という概念が強いため、あまり存在しなかった。
「チワワとかの小型犬ブームのおかげで、最近ではペットを同じお墓に埋葬できる霊園がとても増えましたね。それどころか、墓石にペットの名前を入れたり、ペットをかたどった墓石まであります」(前出のHさん)
家族の一員である愛するペットは、もはや動物扱いされない時代なのだ。
◆飼い主より先に“ホーム”へ
7年前に夫に先立たれたKさん(68歳)は愛犬を月額約3万円で“老犬ホーム”に預けている。
「散歩中に転倒して骨折、それから散歩するのが怖くなっちゃって。でも、息子夫婦もマンションだから飼えないし、知人に預けるのも嫌だったのでホームを見つけたんですよ。私より先に犬がホームに入るなんてね、週末に面会に行くのが余生の楽しみになりました」
そう笑いながら話すKさん。ホームに預けてから、愛犬はいいドックフードを食べているおかげで太ったとか……。意外に下手な“老人ホーム”より待遇がいいかもしれない……。
◆愛しきペットのために遺産を
飼い主が自分の亡き後にペットの飼育費の管理を任せる“信託サービス”が注目されている。これは、NPO法人や企業が仲介し、ペットの余命分の飼育費(25万~30万円/年)を信託銀行や信託会社に預けるというサービスだ。飼い主が病気や怪我、死去してペットの世話をする事が不可能となった場合、仲介しているNPO法人や企業がペットを引き取り、里親を探し、新しい飼い主にエサ代を支払う仕組み。
この信託サービスを運営するNPO法人「ペットライフネット」の吉本由美子代表は次のように語る。
「最近は戸建てじゃなくて集合住宅に住んでいる人が増えています。ペットを飼える環境に住んでいる人が少ない。だから、戸建ての老人ばかりペットを飼っています。老人が亡くなってしまうと殺処分にあうペットも多い」
この信託サービスは飼い主の不安も取り除き、殺処分に合うペットを減らす施策でもあるのだ。
ペットは大事な残された家族の一人。これからは犬、猫に限らず魚類や爬虫類向けの新しいサービスが生まれてくる時代も近いのかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

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