「よかったら一緒に観光しない?」――46歳のバツイチおじさんは国連に勤める才女から突然デートに誘われた〈第26話〉
ゲストハウスに戻ると、共用スペースで25歳くらいの女性がスリランカの男性と話していた。
気にせずスマホを見ていると、その女性が唐突に声をかけてきた。
女性「ハイ!」
俺「ハーイ!」
女性「どこの国の人?」
俺「日本だよ」
女性「おー日本! すごくいい国だね」
俺「ありがとう! そちらは?」
女性「ノルウェー」
俺「ノルウェーか。ぜひ行ってみたいな」
女性「ところで、明日って空いてる?」
俺「え? 特に予定はないけどなんで?」
女性「今、トゥクトゥクドライバーと話をしていて、明日、トゥクトゥクを1日貸し切る交渉をしてるんだけど、二人だと金額が半分でいけるでしょ? よかったら一緒に観光しない?」
俺「……うん。いいよ」
女性「おーー! ナイス!! じゃあ、明日の朝7時にゲストハウスの一階ね!」
声をかけてきた女性の名前はギチ。
ノルウェーの首都オスロ出身で国際連合に勤める才女だ。
仕事柄、世界のいろんな国で働いているらしい。
交換したfacebookを見ると友達が1800人を超えていた。
なかなかコミュニケーション能力が高い女性のようだ。
こうして嵐のようなスピードで彼女との観光デートが決まったのだった。
翌朝、ゲストハウスの一階に行くと、俺の分の朝食を持ったギチとトゥクトゥクドライバーが立っていた。
ギチ「はい、朝食」
俺「え? あ、ありがとう。お金はどうしたら…?」
ギチ「気にしない気にしない。行こうか! ミスタートゥクトゥクドライバー! よろしくね~」
ドライバー「オッケー! 俺のトゥクトゥクは普通のと違ってクールだぜ」
彼のトゥクトゥクはアメリカンな国旗とパイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップが内装にがっつり施されていた。
こうして不思議なトゥクトゥクを貸し切りながらの、ギチとの観光デートが始まった。
ギチ「あなたはこの海賊号のキャプテンね。あなたをキャプテントゥクトゥクと命名するわ」
ドライバー「オッケー。ようこそ私の海賊号へ。これから大冒険に案内するよ!」
ギチ「ヨロシク! キャプテントゥクトゥク!!」
俺「……」
突然のこのノリにかなり面食らったが、居心地は悪くなかった。
ギチはさすが国連で働いてるだけあって、どうしたらスリランカの人々と仲良くなれるかを熟知している。
俺はコロンボでトゥクトゥクドライバーと金額交渉の末、大喧嘩してしまった。
しかし、ギチはドライバーと上手に付き合う。
途中、ドライバーと観光スポットが癒着してるんじゃないかと思われる場所に連れて行こうとすると、「そこはいいよ!キャプテン」とセンスのいいジョークで笑いに変えた。
やがてトゥクトゥクドライバーの心は開いていき、最初はただの観光客としか思っていなかったギチを、途中から仲の良い友達のように扱いだした。
「こんなスマートな女性、今まで出会ったことないかも!」
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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