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「よかったら一緒に観光しない?」――46歳のバツイチおじさんは国連に勤める才女から突然デートに誘われた【第26話】

俺は体が獣臭くなってしまったので、お土産屋で象Tシャツと象パンツを買い、着替えた。 全身に象を身にまとった俺を見て、ギチはくすりと笑った。 笑うギチを見て、俺もくすりと笑った。 俺「どうだった? 象に乗る体験?」 ギチ「…うん」 俺「どうしたの?」 ギチ「楽しかったけど、自由になりたい象を、象使いがビシビシ叩くよね。象がかわいそうであまり好きになれないかな」 俺はハッとした。 タイで象に乗った時も今も、象のことを思いやることなんて想像もできなかった。 ただ、自分自身が楽しむことだけを考えていた。 しかし、ギチは自分が楽しみながらも、もう一つ次元の高いをことを考えていた。 やはり、ガチで世界平和を目標に仕事をしている女性は、普通の人と少し思考回路が違うようだ。 俺はギチを尊敬し始めていた。 ドライバー「お腹空いただろう? 最高のお店を知ってるから、そこに案内するよ!」 もはやギチのマブダチ化したトゥクトゥクドライバーは、彼女をいかにして楽しませるかを真剣に考えていた。 ツアー開始からたった4時間、ギチは二人の男の心を鷲掴みにしていた。 一行は綺麗な川が横に流れる素敵なレストランに到着した。 俺「おーー!いい店だね~」 ギチ「ねえ、ごっつ」 俺「ん?」 ギチ「私たちが楽しんでいる間、ドライバーさん、ずっと待ってもらってるじゃない。お昼ご飯、一緒に誘ってもいいかな?」 俺「あ、もちろんだよ! ここは2人で彼の分の食事代出そうね」 ギチ「さすがごっつ! サンキュー」 というわけで3人で食事をすることになった。 俺はチキンカレーを注文。スリランカで確実に口に合う一品だ。

安定感のあるチキンカレー

ギチ「ごっつ、待って! その食べ方じゃダメだよ」 俺「え?」 ギチ「せっかくスリランカに来てるんだから、ちゃんとこの国の文化を学ばなきゃダメ。この国の人はスプーンなんか使わずに右手で食べるんだよ。私の真似をして」 そう言うとギチは器用に右手を使い、カレーライスを食べた。 この食べ方はインドだけなのかと思っていたけど、スリランカでも同じらしい。 ギチ「コツはね、手のひらに握ったご飯をこうやって親指で上に移動させながら食べるんだよ」 その様子を見てトゥクトゥクドライバーはニヤニヤと笑った。 俺は見よう見まねで恐る恐る右手で直接カレーライスを握った。 俺「あち! 熱っ熱っ!!」 ドライバー「わはははは」 ギチ「はははは」 本やネットの知識じゃわからないことがある。 生まれて初めて、素手でご飯を食べると、ご飯は「スプーンでOKレベル」でも掴むと意外に超熱い、と知った。 添え物のトマトやチキンなど食べ物もそれぞれ温度が違う。 どうやら食材によって「おいしい温度」があるようだ。 これも、素手で食べないとわからないことだった。 しかし、料理とは本当に奥が深い。
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素手でカレーを食べることで発見したこと
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