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「看護師ストーカー」になってしまう患者たち

高齢者によるストーカー行為も

 また、高齢化が進んだことにより、近年では高齢の患者によるストーカーも増えている。警察庁の統計によると、2011年に313人だった70歳以上のストーカー加害者は2015年にはおおよそ倍の615人に、同じく60歳代では983人から1,510人に、50歳代では1,468人から2,261人へと急増している。ストーカー行為により逮捕される高齢者も同様に増加の一途をたどっているのだ。  看護師が高齢の患者に寄り添い、良好なコミュニケーションを図ろうと接していたところ、一部の患者から強い好意を寄せられてしまう。看護師はそれが恋愛感情だと気づかずに親身な対応をし続け、その結果、ストーカーに発展してしまったという事例は絶えないようだ。これは飲食などの接客業も例外ではない。  こうしたストーカー被害は「病人だから許しなさい」「患者を疑っているのか」と黙殺されてしまう風潮が医療機関にあり、報告されないケースもあるという。被害に遭ったら警察に通報する必要はあるが、警察も看護師と患者という関係上、介入が難しいのが現実で、なかなか捜査されにくい実態があるという。  最後に、ストーカー被害を未然に防ぐ対策を、前出の女性看護師はこう話す。 「患者さんに対して、誰にでもいい顔をする、負の感情があっても笑顔が絶えない、優柔不断でハッキリしない、こうした性格の看護師さんは気をつけてほしい。たとえ患者さんでも、されて嫌なことはハッキリ断る意思表示が大切で、まずは自分の身の安全のためにも、しっかりと一線を引く態度を取り、その上で患者に寄り添うこと。職場以外では患者さんとの関わりを持たないのが原則です」  重い病気にかかったときほど、その人本来の性格や人間性が表に出てきてしまうもの。だからこそ“余計な迷惑”をかけてしまう患者にはならないためにも、看護師との関係を見誤らないことは意識しておきたい。 <取材・文/北村篤裕>
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