電気グルーヴ、デビュー26年にして“絶頂宣言”!「いちばんベストな、自分たちの聴きたいものができた」
――ドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-』で、DJ TASAKAが、『VOXXX』(2000年リリース、まりんこと砂原良徳が脱退し、2人になった直後のアルバム)のレコーディングの時、同じ曲のキックの音を、ああでもないこうでもないって1ヵ月ぐらい作っていた、という話をしていましたよね。
石野卓球:ああ、あれは結局、作った曲に対してその音がしっくりこないから「どこが違うんだろう?」って直してる作業じゃない? 今はそういうのがまったくないから。「この音ちょっと合わないな」って思った時には、合う音がもうわかってて、そっちに差し替えるっていう。
――でありながら、このアルバムが過去のどれにいちばん近い匂いを持っているかというと、『VOXXX』だと思うんですね。
石野卓球:それみっちゃんも言ってた(所属事務所社長。デビュー当時からの電気のスタッフ)。情報量ってこと?
――情報量もそうですし、電気のヤバい部分のアウトプットのしかたもそうだし。
石野卓球:でも『VOXXX』ほど突き放してないでしょ?
――そうですね、『VOXXX』は「さあ聴くぞ!」って構えて聴き始める感じでしたけど。
ピエール瀧:ああ、『VOXXX』ほど彼岸にいないよね。あれは面と向かわないと聴けないもんね。
石野卓球:『VOXXX』はちょっと威嚇もあったもん。このアルバムはノレるっていう。ノレるし気持ちいいっていうのが大事。『VOXXX』より娯楽ものだけど、かといってチャラいものでもないっていう。
(レコード会社のスタッフに)あとさ、宣伝資料にあれ書こうよ。リキッドルームの、俺の年越しのDJで、年明けにかけたのが「ユーフォリック」だった、っていうの。
GarageBandで作ってさ、作ったその日にDJで使ったりとかしてて……「ユーフォリック」とか、かなり前から使っててさ、初めてかけた瞬間も覚えてんだけど……お客は初めて聴く曲じゃない? でもいきなりみんなフレンドリーに接するっていうかさ、イントロのフレーズが鳴った時から。「この曲はいけるな」っていう反応なの。電気の曲だってわかっちゃってからは、反応が嘘くさくなるからかけづらくなっちゃうんだけど。
でもほんと、昔からそういう音楽がやりたかったから。誰の曲とか知らずに聴いて、曲の魅力でその瞬間にフロアがワーッてなるっていう。それができてるなあ、って感じはある。
<取材・文/兵庫慎司 撮影/山本宏樹(deltaphoto)>
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