時給500バーツ(約1600円)で豪遊できるワケ
だが、500バーツという時給で暮らしていけるのは分かるが、なぜ高い洋服が買え、海外で豪遊できるのか。さらに質問を続けると……海外のキャバクラで働く女の子たちにとって
最大の儲け話は、度を超えたアフターにあるのだという。
「日本のアフターっていえば、カラオケに行って食事をしてバイバイっていうのが普通なんだけど、ココ、バンコクではお客さんと仲良くなれば
観光地案内、タイ語がわかるなら
現地の女の子との通訳、“
いろんな方法”で大金をゲットできるんだよ」
“いろんな方法”……とは。実際それだけで本当に豪遊ができるとも考えにくい。日本のキャバクラでは、
枕営業や
愛人契約などの話も珍しくない。そこで、不躾とは思いながらも単刀直入に「
カラダは売ってるの?」と聞いてみた。すると、A子があっけらかんとしながらこのように続ける。
「ワタシの友達は、キャバクラで知り合ったお客さんとパタヤに行って観光地案内、さらに
カラダを売ることで一夜にして50万円も手に入れた子がいる。ひと晩を共にする交渉も相手が『
ウン万円払うから今夜どうだい?』という感じで結構ストレートに誘ってくるみたい。別の子は
店内でフェラするだけで2万円もらったって喜んでたよ」
タイは日本に比べて物価の安い国である。大金が簡単に手に入ってしまえば、ブランド品を買い漁ってしまう気持ちもわからなくもない。だが、
買うのはそれだけではないというのだ!
「手に入れたお金で
タイ人の男を買って貢いじゃうっていう……日本で言えばホストに貢いでるのと一緒だよね(笑)」
彼女たちに貢がれるラッキーなタイ人男性とは、トゥクトゥクの運転手からゴーゴーボーイとタイならではの人選。ちなみにデートは、高級ホテルのディナーを予約し、そのまま部屋にチェックインするという、まさに日本のオッサンたちがよくやる古典的なものらしい。
国民的移動手段のトゥクトゥク
一方で、さらに刺激を求めるあまり、なかには物価の安いアジアで男を買い漁り、肉食化するキャバ嬢もいるという。
「歌舞伎町キャバ嬢のB子は超カワイイんだけど、1人でフィリピンやタイ、インドネシアを旅して男を買いまくってるよ。ある意味、外人ってのもブランド品かな。まあ、海外での非現実的な日常と、旅の恥はかき捨てって感覚が強いんだろうね」
ここまで話を聞いてみて気になるのが、日本人の駐在員はさておき、現地人の富裕層など、異国の地でろくに言葉も通じないなかでどの様に自身を売り込んでいくのか。A子はもちろん、B子も英語すらろくに喋れないという。筆者の問いにA子がケラケラと笑いながら答える。
「じゃあさ、逆に考えてみて。アンタたち(男)が買春するときに、言葉ってそんなに必要? それと一緒だよ。ニュアンスで大体ヤレちゃう。金額だけで『オッケー』って」
日本人の女の子が……正直なところ複雑な気分である。
「アタシらは
ヤラれてるとか考えてなくて、アタシらがヤッてやってるぐらいの感覚だからね」
さきほどまでは「ワタシの友達が」という流れだったはずだが、いつのまにか「ワタシ」の話にすりかわっている。A子も売春をしているということか。どこか脇の甘さが垣間みられる。とはいえ、日本のキャバクラであれば、本来彼女たちと何万も払って1時間話せるのがやっとのところだ。だが、アジアの男たちはお金を貰って、日本人の美女とアバンチュールが過ごせるという羨ましい現実(笑)。
タマらなくなった筆者はインタビューの最後に、「頑張るからさ、俺と今晩どうよ!」と冗談ながらも半ば本気で嘆願してみた。その結果、残念ながら全く相手にされなかったのだった……。
ともあれ、海外を旅しながら現地キャバクラや売春で稼ぐ日本人キャバ嬢たち。彼女たちは今後どこを彷徨うのだろうか。
【クレイジーモンキー】
元雑誌編集者。職を失い、路頭に迷い、辿り着いたタイ・バンコク。東南アジアの闇を切り取るべく、レンズ1本、フォトグラファーとして挑戦中。
<取材・撮影・文/クレイジーモンキー、構成/藤山六輝>