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核シェルター、スターリン建築…ソ連時代の遺構はロシアにどれだけ残っているのか【現地フォトレポート】

共産主義の設計思想が残る住宅と車

 共産主義の設計思想は、シンプル・頑丈・低コスト。それは誰にでも扱いやすく世界一頑丈と言われるAK47ライフルにも象徴されるが、街中の住宅にも垣間みられるのだ。 住宅 地下鉄の駅から帰宅するサンクトペテルブルグ市民と、ソヴィエト時代に多く建設された集合住宅の様子。共産主義時代は“家は国家のもの”であり、低コストが優先された。 一室 集合住宅の中の一室。壁にロシア正教画である「イコン」が飾られるなど、典型的なソヴィエトスタイルの内装である。イコンは日本でいうと神棚のようなものだ。 車 ロシア車。このような古い型の車も市内をよく走っている。低性能だがつくりが単純で、誰でも修理できることから根強い人気を持つ。

国の威信を示す世界遺産「赤の広場」

 ソヴィエト連邦の象徴である「赤の広場」。この場所ではGPSの妨害電波が出されているらしく、Googleマップを開くと空港を示してしまう。一説によると、上空でのドローン飛行を阻止するためだとか(ドローンには空港周辺を飛べないようなプログラムがされている)。 赤の広場 ソ連の初代指導者であったレーニンの遺体(ミイラ)が安置・公開されているモスクワのレーニン廟。内部は撮影不可。奥の赤い壁から向こうは、ソ連時代に共産党の中枢が置かれたクレムリン(宮殿)。黄色い建物は大統領府で、プーチン大統領が執務を行っている。 聖ワシリイ大聖堂 赤の広場と聖ワシリイ大聖堂。この場所ではソ連時代から、国の威信を国内外にアピールするため、毎年軍事パレードが開催されている。

ニューヨークに対抗したスターリン様式の建築

 ソ連2代目の指導者だったスターリンは、アメリカのニューヨークを訪れた際、高層ビル群に圧倒され、競争心を抱いた。そのコンプレックスにより、モスクワ800周年を記念してスターリン様式の高層ビルがつくられた。 凍ったモスクワ川 マイナス20度の寒さで凍ったモスクワ川と、その向こうに見えるスターリン様式の芸術家アパート。 外務省 外務省。27階建て。取材時は外壁の修復作業中だった。 ホテルと鉄道省 ヒルトン・モスクワ・レニングラーツカヤ・ホテル(手前)と鉄道省(奥)。 モスクワ大学 モスクワ大学。スターリン様式の高層ビルのうち最大の建築物。1953年の完成で高さ236m。両側の棟は学生寮として使用されている。
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住宅街の核シェルター「バンカー42」
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