更新日:2017年11月14日 15:34
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ビールは生が一番旨いは本当か? ビジネスマンのための一目おかれる酒知識

缶と瓶の違いは?

 日本のビールがほぼすべて生ビールだとしたら、缶と瓶と樽の違いはなんでしょう?  コスト管理に厳しいビールメーカーが、容器によってわざわざ中身をつくり分けるのでしょうか。  実は中身はまったく同じです。  銘柄が同じなら、缶も瓶も樽も中身に違いはありません。  「でもやっぱり味が違うような気がする」  「少なくとも缶より瓶のほうがおいしいだろう」 という声が聞こえてきそうですね。  確かにビールは日光に弱く、光に当たると日光臭というオフフレーバーがついてしまいます。これは茶色い瓶より日光を透過しやすいグリーンの瓶に顕著な現象で、だから昔からハイネケンは軽く日光臭がついているといわれているのです。今度ハイネケンを飲んだら、よく匂いをかいでみてくださいね。  ビールのためには、光を通さない缶の方が優秀な容器なのですが、「缶は金属臭がする」という人もいます。  しかし、缶の中は金属とビールが直接触れないようコーティングされているので、金属の匂いがビールに移ることはあり得ません。  きっと缶ビールの場合は、缶に口をつけて直接飲むことが多いからではないでしょうか。缶ビールでも、きちんとグラスに泡を立てて注げば、おいしく飲むことができます。また、缶に装着して泡をつくる装置なども売られています。以前取材でそうした装置をいくつか試しましたが、実際ワンランク上のおいしいビールになりました。

サーバーから出されたビールが一番うまいとは限らない

 もちろん、最も理想的にビールを注ぐことができるのが、ビールサーバーです。よく管理されたサーバーで、熟練者が注いだビールは本当においしいですね。  私は銀座7丁目のサッポロライオンの常連なのですが、あそこは日本一おいしい生ビールが飲める店だと思います。  ただ、ビールサーバーはメンテナンスが大切で、毎日掃除をしないとバイオフィルムと呼ばれるビールの「垢」がついてしまいます。こうしたサーバーで注いだビールは匂いも味も最悪です。私は店内の掃除が行き届いていない居酒屋に入ったら、樽生ではなく瓶ビールを注文します。そのほうが変なビールを飲まされず、安全だからです。  おいしい樽生が飲みたかったら、やはりビールメーカーの直営店がおすすめです。「樽生達人の店」(サントリー)「ドラフトマスター」(キリン)という、各メーカーが発行した認定証のあるお店へ行くのも良いでしょう。店選びのときの目安にするとおいしい生ビールにありつけますよ。 江口まゆみ【江口まゆみ】 神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学卒業。酒紀行家。1995年より「酔っぱライター」として世界中の知られざる地酒を飲み歩き、日本国内でも日本酒・焼酎・ビール・ワイン・ウイスキーの現場を100軒以上訪ねる。酒に関する著書多数。SSI認定利き酒師、JCBA認定ビアテイスター
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