悪事の限りを尽くしたPTA会長…不倫、横領、個人情報流出も【暴走PTA事件簿】
実はこの頃、青木の店は火の車状態。経営は傾いていたという。常連男性は続ける。
「PTAの会長になってしばらくは羽振りが良かったんですよ。PTA関係の人が飲みに来るようになったから。でも、すぐにその“バブル”は終わって、ある日僕にこんなことを言ったんですよ。『名簿って、買ってくれるみたいだけど知ってる?』って。僕は普通の会社員だから、そんなことは知らなかったけど、そういう業者がいるということはテレビとかで知ってから『う~ん、あるみたいだけど今は個人情報うるさいからいろいろ入手経路とか聞かれたり、普通の人が持ち込んでもどうなのかなぁ~』とはぐらかしたんです。ピンときたんですが、たぶんマスターは自分の子供の通う小学校の名簿を売ろうとしてたんですよ。その小学校は公立なんですが、都内でも有数の高級住宅街にある小学校。欲しがる人は喉から手が出るくらい欲しいでしょうね」
結局、名簿は業者に渡らず事なきを得たが、青木はPTAの会長とは思えない行動に出る。
「マスターには九州時代からの裏稼業の人脈があって、借金返そうと思ってその人たちを頼ったんですよ。その辺りから店の雰囲気は最悪で、まずやったのが客を打ち子に勧誘すること。要するにパチンコのサクラです。そして、クスリですね。当時は合法ドラッグなんて言われてた、いわゆる脱法ドラッグ。私は詳しく知らなかったんですが、かなり“強烈”なものを捌いていたみたいで、店が密売の場所になってたみたいなんですよ。もう、ホント、酷い状況で、開店前に店の前を通ったら“いかにも”なヤツらが出てくることもしょっちゅう。オマケに開店してるのにドアが開かないから、あれ?と思ったら、中から女の人の喘ぎ声。しばらくして店に行ったら、例のPTAのおかあさんがいました。そんな店、誰も行かないですよね」
結局、青木の悪事は夏に発覚する。教師の男性はその当時のことを振り返る。
「8月だったかな。青木の奥さんがDVが酷いからと施設に駆け込んだんですよ。PTAの会長がDVなんて前代未聞なので、青木を呼んだんですがノラリクラリと……。結局、この一件で不倫やPTAの活動費の使い込みが発覚したんです。でも、学校というのは不祥事を隠そうとすることにかけては“プロ”ですからね(苦笑)。子供は転校、青木は引っ越しと言うことで結局、うやむやのまま。校長が青木の店にも行ったんですが、もぬけの殻。ビルのオーナーに聞いたところ夜逃げしたと……」
青木のその後はようとして知れない。お店の常連男性もどこに行ったかは分からずじまいだという。
「マスターみたいなデタラメな人間をPTAの会長にするなんて、正気の沙汰じゃない。僕も今は子供ができて来年から小学校に通うことになっているんですが、マスターの一件があったから役員や会長はどんな人がやるのか、否が応でも気になりますね」
いくら面倒とはいえ、自分の子供が通う学校である以上はPTAもどんなことをして、誰がやっているのかを知ることは必要である。だが、実際にその活動に参加する労力は想像以上に負担があるのも事実である。こうした状況があるゆえにPTAそのものをなくす学校も出てきているという。PTAの在り方は今後、大きく変わる可能性があるのだ。
取材・文/テポドン(本誌)1
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