都心に続々出店する“アンテナショップ居酒屋”。魅力は食材だけではなかった
自治体公認の“アンテナショップ型”という居酒屋の業態が東京でにわかに流行っている。アンテナショップ型居酒屋は地方の自治体と連携協定を結び、その町から直送された新鮮な食材を扱っているのが特徴で、本来ならその土地でしか食べられない貴重な食材や郷土料理を食べることができる。
そのため、近年価格と内容ともにカジュアル化が進む日本人同士の接待シーンでも使いやすいというのが、これらの店の人気の一因となっているようだ。
また、地方の生産者たちにとっては、地元で埋もれがちな食材や郷土料理を都市部に住む人たちに食べてもらうことで、安定した供給先の確保や魅力の再発見、ブランド化にも繋がりやすいという地方創生的な一面もあるという。
そんな消費者と地方の自治体の双方に利益をもたらす自治体公認アンテナショップ型居酒屋。火付け役となったのは「北海道八雲町」「佐賀県三瀬村」など、全国的には無名な町や村の名をそのまま店名にした居酒屋を運営し、今年4月にテレビ番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも取り上げられた外食企業ファンファンクションだ。
日刊SPA!取材班は9月の平日、日本橋の「北海道八雲町 三越前店」を訪れた。
17時のオープン直後こそ記者一人だったものの、間も無く客の流れがやってきて、店内はすぐに満席に。予約の電話も18時から10~15分に1本かかってくるほど盛況な様子。スタッフによれば、「金・土は19時くらいで満席になり閉店までに3回転することもある」とのことで、その人気ぶりが伺える。常連のお客さんも多いそうだ。
ファンファンクションに続くのが、ダイヤモンドダイニンググループのゴールデンマジックという、北海道や青森のご当地居酒屋や大衆酒場を多く手がけている会社。今年2月に「五島人 西新宿店」をオープンすると、わずか4カ月で浜松町や神保町など都内4店舗への出店を果たした。
黒潮と対馬海流の分岐点である五島列島の鮮魚をはじめ、「五島豚」「五島牛」など島の食材の味わいを楽しめる炉端焼きを提供している「五島人」。西新宿店は全席個室で、より接待向きの落ち着いた雰囲気が漂っている。
さらに、今年7月には神戸三宮駅周辺を中心に店舗を拡大している「土佐清水ワールド」が5店舗目にして東京に初進出を果たした。産地直送の「藁焼きかつおのたたき」や「清水サバ」、香り豊かな宗田節を使った料理が楽しめる。足が速いサバは生きたまま送られてくるとか。
アンテナショップ居酒屋が増えた背景




1
2
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
横浜が住みたい街1位の理由。「相模鉄道の直通整備」でどう変わる?
世田谷区民になれる近くて安い穴場駅を発見。小田急線ダイヤ改正で大注目
独身中年男性がガンコに住み続ける「板橋区大山」ってどんな街?――飲食店が充実、程よい田舎感が落ち着く
1人散歩スポット、関東近郊のオススメ5選――伊豆白浜から赤羽の住宅地まで“路上園芸”でリラックス
初詣は家族ばらばら…異なる神社・お寺でお参りをする!? 青森県津軽地方に残る世にも珍しい風習
「卵サンド」を1000種類以上食べた男性を直撃。ハマったきっかけや、健康診断の結果を聞いてみた
「500円以内」で外食を楽しむなら“チェーン店のモーニング”一択。「おすすめの店」「初心者が行くべき時間帯」をプロが伝授
店舗数は5年で2倍…「おにぎり専門店ブーム」は淘汰フェーズに。喫茶店のコメダが参入も“強み”のボリューム感はいずこへ
ピザハットの“二郎系ピザ”「豚ハット」を実食。一口目で「思わず声を上げてしまった」理由
肉が1枚(約100g)で「3850円」のすき焼きを実食。日本人には“魅力的ではない”と思った理由【いきなりステーキ運営会社の新業態】
名古屋メシ・台湾まぜそばは台湾ラーメンの失敗から偶然生まれた一杯だった
都心に続々出店する“アンテナショップ居酒屋”。魅力は食材だけではなかった
たかが枝豆と侮れない!青森県のソウルフード“毛豆”最強決定戦
真っ昼間からお酒とつまみが堪能できる! サラリーマンのオアシスが赤坂にあった
「生茶」をぶっかけるお茶漬け「鯛ひつまぶし弁当」は何が新しい?
食を愛するデブが厳選した「最強のセットメニュー」ベスト3
男心を惹きつけるギミックに釘づけ。赤い唇で誘う女性の正体とは?
都心に続々出店する“アンテナショップ居酒屋”。魅力は食材だけではなかった
たかが枝豆と侮れない!青森県のソウルフード“毛豆”最強決定戦
清野とおる×パリッコが語る、飲み歩いて気づいたこと「どこの街にも、キーマンはいる」
漫画家・清野とおる × 酒場ライター・パリッコ 書籍『赤羽以外の「色んな街」を歩いてみた』発売!
メダカすくいに救われた「水道橋」の夜/清野とおる×パリッコ
不動産屋はウソをつく。損しないために知っておきたい3つの“単語”
茨城県が魅力度ランキング最下位脱出!県民に直撃レポートしてみた
和風のメロンパン?群馬県民しか知らない謎フード「バンズパン」の“正体”とは
高学歴芸人・カズレーザーが考える「“おもしろい人”に共通している特徴」
北海道民はペヤングとUFOを知らない? 地元民が愛ある自虐ネタを披露
秋田美人は地元民にとってはレア? 愛のある秋田県あるある
千葉のJUAGARさんが語る、デーモン閣下、みうらじゅんとの思い出
この記者は、他にもこんな記事を書いています