更新日:2022年10月24日 01:09
ライフ

68歳、俺がホームレスになった理由

主な収入源は中国人からもらう日給3000円の“ならび”

 青木さんの主な収入源は「ならび」と呼ばれる仕事である。駅前にあるヨドバシカメラなどの大型家電量販店の周りをウロウロしていると、中国人バイヤーが声をかけてくるそうだ。彼らの代わりに数時間店頭に並び大量の家電を購入することで、1日に3000~4000円の報酬を受け取ることができるのだ。ほかにも肉体労働以外のアルバイトを数本こなしているという。 「とくに気に入っているのは、夢の島マリーナにあるヨットハーバーのゴミすくいの仕事だな。水面に浮いた落ち葉を網でひたすら取っていくんだが、雨の日から3日間はその仕事が続くから安定収入になるんだ」  ならびと単発のバイトで月の収入は4万~5万円。都内でホームレスをやっていれば、毎日どこかしらで炊き出しを行っているので、食いっぱぐれることはないそうだ。事実、青木さんは炊き出しだけには頼らず稼いだお金で好きな弁当を買ったり、焼酎を買ったりしながら食を楽しんでいる。
ホームレス男性の光と闇

優雅な昼下がり

 ホームレスになることはすなわち人生の終わりだと考える人もいるかもしれない。だが、笑顔で話す青木さんを見ていると、意外とそんなこともないように思える。青木さんが炊き出しだけに頼らない理由を聞いてみた。 「だって毎日カレーやおにぎりじゃ飽きるだろ?」  青木さんの人生はまだまだ終わっちゃいない。 <取材・文・撮影/國友公司>
元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
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