更新日:2022年11月20日 10:34
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セパルトゥラが「ウルトラセブンの歌」をシャウト! アニソンをカヴァーする海外メタルバンドたち

イタリアではジブリ作品がデスメタル化

 イタリアでは、デスメタル・バンドのDisarmonia Mundiが中心となって、スタジオ・ジブリ作品のデスメタル・アレンジのトリビュート・アルバム『Princess Ghibli』が2枚発表されている。

スタジオ・ジブリ作品をデスメタル・アレンジしたトリビュート・アルバム『Princess Ghibli』(2011年)

 実はイタリア出身のメタル・バンドは、その多くがアニソンのカヴァーを行っている。シンフォニックメタル・バンドのHoly Knightsは『機動新世紀ガンダムX』のオープニングテーマ「Resolution」を、なんと日本語詞でカヴァー、つまり、日本語で唄っている。  また、『全部』というタイトルのアルバム(邦題ではなく、原題が漢字で「全部」なのである!)を出し、「スカイラーク全部」というネット流行語までも生んだ、メロスパーやオタク・メタラーに大人気のメタル・バンドSkylarkは、アルバムの諸作品に『マジンガーZ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『UFOロボ グレンダイザー』などのカヴァーを収録している。同バンドのリーダーであるエディ・アントニーニは、1998年発表のソロ・アルバムでも『グレンダイザー』のカヴァーを収録している。  そして同じくメロディックメタル・バンドのHIGH ROADは、『新世紀エヴァンゲリオン』『北斗の拳』『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』などの主題歌のカヴァーをアルバムに収録している。さらに、プログレ寄りのメタル・バンドのDGMは『北斗の拳』の「愛をとりもどせ!」をカヴァー。何なんだ、この多さは……。

イタリアのメタル・バンドにアニソン・カヴァーが多い理由とは?

 イタリアは、ヨーロッパのなかでも日本のアニメの人気が非常に高い国である。初めて日本のアニメがイタリアのテレビで放送されたのは1978年のこと。その際には、『アルプスの少女ハイジ』『UFOロボ グレンダイザー』が放送された。後者は最高視聴率80%以上を記録し、大きなブームとなったようだ。  永井豪のマンガ家生活30周年記念のムック本『GO NAGAI All His Works』(辰巳出版、1997年)に掲載されている「主要作品海外放送一覧」を見ると、当時、永井豪作品をもっとも放送した国はイタリアだったことが分かる。イタリアは、永井豪作品のコミックやOVAの販売店数も多い。

「マジンガーZ」「デビルマン」「キューティーハニー」など海外でも人気の永井豪作品。特にイタリアでは多くの作品が放送されたりコミックやOVAが販売されたりしている。(『GO NAGAI All His Works』89ページ「主要作品海外放送一覧」「コミック海外販売」「OVA海外販売」より引用:筆者撮影)

 イタリアの実写映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015年)の監督を務めたガブリエーレ・マイネッティは、「僕らの世代(筆者注:1976年生)や僕らよりちょっと上の世代にとっては、日本のアニメーションは特別な存在。日本のアニメーションは僕らの心の中に根づいていると言っていいくらいです。」と述べている。
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X JAPANも海外バンドがこぞってカヴァー
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

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