新入社員が呆れるモンスター上司の言動集「酒を飲めない=”ゆとり”と罵倒された」
そして強いられるのは、飲み会や残業だけではない。都内の金融機関で働く松本さん(22歳・仮名)は語気を強める。
「ランチに1000円の弁当はきつい、などと同僚と話していると『お前ら新人は貧乏人だから』とちゃかしてくる上司がいるんですが。家や車のローンでいっぱいいっぱい、あまり仕事もできないからか給与も低いともっぱらの噂で、タバコをやめた、と言いつつ喫煙所に来ては僕らにタバコをたかるんです。日に2~3本たかられることもあります。飲み会の時だってたった1000円多く払っただけなのに『俺が払ってやった』とでかい顔。帰り際には『タクシーで帰りたいから1000円貸せ』と。もちろんその1000円は返ってきません」(松本さん)
そして、極めつけはやはり「セクハラ」。
「いやに私をほめてくれるから、最初は認められている、などと思いましたが……」
都内の大手化粧品会社に入社したミユキさん(23歳・仮名)は、直属の上司から何をしても褒められた。一方、ミユキさんをダシにして、同僚男性のMさんを常に叱っている。しかしミユキさんができて、M君ができない、といったことではなかった。
「M君が仕事ができないから対策を練ろう、と飲みに誘われましたが、夜景のきれいなバーに行こう、近くのホテルに泊まろうと誘われて……。結局その上司は、いろんな若い女のコを褒めて、同僚の男性を馬鹿にして、女性の人気を得ようとしているだけの人だったんです。社員でかわいい女性には甘く、派遣のパッとしない人には厳しいと評判です。化けの皮がはがれたというか、最低の男です」(ミユキさん)
常識のない新人を「モンスター新人」などと笑ってばかりはいられない。社会経験の乏しい若者から「人間として終わっている」と見下される「モンスター上司」たちは、長年そのスタイルでやってきただけあり、プライドも無駄に高く、もはや社会に適応できないレベルであることも多いのだ。
冒頭の本間さんが言う。
「飲み会に参加しなかっただけで人間を判断するような上司にだけはなりたくありません。若いやつ、ゆとりと言われても結構ですが、僕は仕事をするためにこの会社に入りました。馬鹿な人たちにあれこれ言われて、本質を見失わないように頑張りたいです」(本間さん)
最近、スポーツや文化界における若者の活躍に注目が集まっているが、彼らはかつて「ゆとり」だの「さとり」だの言われて、世間から徹底的に馬鹿にされてきた世代でもあった。これまで見下されていた新人たちが、勇者のように「モンスター上司」たちを駆逐する日も近い!?<取材・文/山口準>
― モンスター新入社員録 ―新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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