更新日:2022年12月28日 18:20
エンタメ

西城秀樹は洋楽ロックもメタルもアニソンも歌った! 日本歌謡界の地平を開いた功績をたどる

YOSHIKIプロデュースのバラード「moment」のヒットで紅白出場

 ヒデキとヘヴィメタルの接点は、1997年。この年ヒデキの楽曲のトリビュート・アルバム『西城秀樹ROCKトリビュート KIDS’ WANNA ROCK!』が発表された。1曲目「激しい恋」に、“ヘヴィメタルな人達”名義で、GEORGE、屍忌蛇、AKIRA、KATSUJIのメタル系ミュージシャンが参加。また7曲目「傷だらけのローラ」は、筋肉少女帯のギタリスト=橘高史彦の編曲により様式美ヘヴィメタルのテイストが加わっている。このアルバムはおそらく、アニメタル・ムーヴメントの支流下にあるのではないか。  この頃、アニメタルの他に、ドラマの主題歌をメタル化した『ドラメタル』や、刑事ドラマの主題歌をメタル化した「刑事メタル」、ほか「メタルっち」『ナツメタル』など、多くの企画物カヴァーアルバムがリリースされ、メタル系ミュージシャンの起用が目立っていたのである。  またその翌月には、ヒデキの76枚目のシングル「moment」がリリースされるが、これはYOSHIKIプロデュースによるYOSHIKIメロディが炸裂する美しいバラード曲だ。YOSHIKIの楽曲は非常に作家性が強く、一聴してわかる。同曲のヒットにより、この年、「第48回NHK紅白歌合戦」に出場した。

X JAPANのYOSHIKIが作曲・編曲・プロデュースを手掛けた西城秀樹の76枚目のシングル「moment」

 ヒデキは、70年代に洋楽のロックおよびハードロックの伝道に貢献したが、90年代後半期には、ロックおよびメタル系アーティストからリスペクトされ、さらにはその流れから紅白への出場の機会をも得ている。昔の恩が返ってきたと言うべきか。
次のページ right-delta
ヒデキはあのアニソンも歌っていた!
1
2
3
4
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

記事一覧へ
ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

おすすめ記事