ネズミを捕った猫ギネス世界一と最古のウイスキー蒸留所グレンタレットの話
― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第17回 ―
最新の蒸留所は衛生設備がしっかりしていますが、昔ながらの蒸留所ではそうもいきません。そのため、ウイスキーの原材料である穀物を食べるネズミが発生しました。人間はそれに対抗し、猫を飼いました。冗談ではなく、本当の話です。この猫はウイスキーキャットと呼ばれ、本当に害獣駆除を行っていました。
ウイスキーキャットとして最も有名なのが、グレンタレット蒸留所のタウザーです。1963年4月21日生まれで、23歳11か月まで生き、その間なんと2万8899匹のネズミを仕留め、ギネスブックに世界一ネズミを捕った猫として記録されています。
グレンタレット蒸留所で作られるシングルモルトウイスキーであるグレンタレットは、ちょっとマイナーです。価格も手ごろで、10年物なら4000円以下で手に入ります。色は明るめですが、オイリーで美味しいウイスキーです。なんと古いボトルのラベルには、「Scotland’s Oldest Distillery(スコットランドで最も古い蒸留所)」と大きく書いてありました。グレンタレット蒸留所は正式には1775年に創業したのですが、1717年にはすでにウイスキーを製造していたという記録が見つかったことで、最古の蒸留所と謳っているのです。
どちらかというと、グレンタレットはシングルモルトウイスキーとしてではなく、フェイマスグラウスというブレンデッドウイスキーのキーモルトとして有名です。キーモルトとは複数銘柄をブレンドするブレンデッドウイスキーの中で、重要な役割を果たすシングルモルトウイスキーのことです。フェイマスグラウスは地元スコットランドで最も飲まれているウイスキーなので、知名度は段違いというわけです。
ウイスキーキャットは当時の蒸留所では普通にいたのですが、タウザーは仕留めたネズミを主人の下に運んできました。それも毎日のように捕ってくるので、蒸留所のスタッフが途中から数をメモするようになりました。その数が、2万8899匹というわけです。実際はギネスブックの調査員が記録を元に統計的に推測したのですが、それでもすさまじい数と言えます。そして、その功績をたたえ、蒸留所内に銅像が設置されています。ちなみに、日本ではタウザーを君付けで呼ぶことが多いのですが、実は雌猫です。
ギネス世界一のウイスターキャット・タウザー
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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