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自衛隊の休暇はこんなに細かく管理されている。新婚旅行にも面倒な手続きが…

休暇計画の意図と効用とは?

 この細かい計画書をだして認められれば晴れて、許可された旅行ができるわけです。  でも、そんなに細かい計画通りに移動ができるのかと気になりますよね。知らない土地を歩くときは駅と駅の乗り換え場所がわからず、電車に間に合わないことがあります。でもそのへんの多少の時間配分の誤差は咎められることはないようです。ただし、旅行予定と全く違う場所で事故を起こしたりすると重大な問題となります。虚偽の申請をだしたことを疑われる場合もあります。  一般企業に勤めている人たちからみると休暇なんて、各々好きにすればいいと感じることでしょうが、自衛官はイザと言うときに緊急に呼び出される職業です。だから、休暇も隊員の所在を部隊が掌握している必要があります。また、隊員が旅行中に事故や事件に巻き込まれないように安全な休暇を過ごす指導をする目的もあるのだそうです。自衛官はメディアの注目を集めますから、羽目をはずして問題行動をおこさないように細心の注意をはらうわけです。特に海外旅行に行く隊員は旅行計画を出してさえいれば、近くでテロが発生しても迅速に大使館等に保護を求める要請ができます。隊員のために情報を流すことも可能です。面倒な書類ですが、隊員の保護のためにも役に立っている側面はあるようです。
陸上自衛隊Twitterより

陸上自衛隊Twitterより

 しかし、国内の自分の家へ帰るようなときにもここまでの管理が必要でしょうか? ちょっと過保護すぎる気もします。 「休暇旅行に行く前に疲れはててしまう」と隊員たちにはとても不評な制度です。  休暇中でも呼び出せるようにと隊員の居場所を旅行ルートまで把握しないと人員数に不安があるという事情が見え隠れします。休暇中くらいは自由に休んでも問題ないように予算を増やし、隊員を増員してローテーションを組めるようにしてほしいものです。  人生の最大のイベントは「結婚」でしょう。そのハネムーンで海外旅行を希望する自衛官も多いと思います。せっかくの人生の節目ですから、思い出に残したいのは自衛官も同じです。手続きさえきちんとしておけば旅行や移動も可能ですが、もう少し簡略化してはどうかと思います。ほかにも自衛官には大変な任務や訓練がたくさんあります。これでは手続き申請だけで疲れてしまいます。これほどまでに自衛官は自由時間ですら管理されるのです。このキツイ制度を耐えてもらうのですから、やはり自衛官の人員不足を解消するためにもその苦労にみあった待遇改善が必要なのです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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