ボッタクリ風俗で遭遇した、「天変地異」――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第42話>
明らかに、ボッタクリたいメニューは決まっていて、お話ししたから1000P、手を握ったから5000Pとありそうなメニューだけしっかりと設定し、その他は適当に考えたみたいなものが並んでいました。普通に上半身脱いでもらって話をして手を握って合計9000Pくらいを取りたいんだろうな、という感じのメニューでした。
「このPってなに?」
僕の質問が核心に迫ります。これも革命軍が得意気に説明してくれたのですが、なんでも1000Pはそのまま1000円と考えてもらっていいようなのです。
ただし、現金をやり取りすると警察のガサ入れがあったときなど、摘発を免れない。じゃあ、現金でのやり取りをやめ、Pでやり取りしようと、考えたようなのです。
どうもこのお店は三店方式みたいなものを採用しているようで、例えば僕が革命軍とお話しすると、1000Pが与えられます。これはなぜか麻雀の点棒でした。で、その点棒を持って隣の部屋にいくと、点棒分の料金を支払うことになるようです。
点棒を貰うこちらの店と、点棒で金を徴収する隣の店は無関係。あくまでもこちらは点棒を配布しているだけ、というカラクリのようです。それで摘発を免れるのかはわかりませんけど。
「全く注文しないってのはダメなの?」
そう聞くと、革命軍は首を横に振ります。
「最低でも3つは頼まないと、怖い目に遭うよ」
そう言い切りました。やはりお話、上半身裸、手を握る、で9000P、9000円ボッタクリたいようなのです。入口で6000円払っていますから、合計で15000円取りたいわけです。ボッタクリとしては安めの設定ですが、それくらいだと事を荒立てる客も少ないのでしょう。
「じゃあはやく3つ選んでね~」
革命軍が、革命に成功したみたいな顔で言います。どうせ、お話か上半身裸か手を握るだろ、という余裕が伺えます。ここがチャンスです。この間隙を思いっきり突きましょう。
「じゃあ天変地異で」
「え!?」
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri)
記事一覧へ
『pato「おっさんは二度死ぬ」』 “全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"―― |
記事一覧へ
『pato「おっさんは二度死ぬ」』 “全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"―― |
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ