更新日:2019年09月27日 15:17
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「一強」と言われる安倍内閣は、一体どんな実績をあげたのか?/倉山満

この総理大臣で我慢しろと言うのは、情けない話だ

 今やよほどの安倍信者以外の衆目一致の評価だろう。安倍政権の評価など民主党よりマシ、でしかない。鳩山由紀夫・菅直人・野田佳彦の3人の民主党首相に加えて、麻生太郎も加えてよいかもしれない。その5人の中では、間違いなく安倍首相が最もマシだ。内政外交ともに。  誰も言わない点を取り上げる。災害対策は安心できる。平成末期は何度も大災害に見舞われたが、安倍内閣は無難に対処した。少なくとも、阪神大震災の村山富市や東日本大震災の菅直人のような地獄絵図はなかった。ただし、村山と菅がひどすぎたので相対評価でもち上げねばならないが、災害対策など、政治家の実力でも何でもなく、できて当たり前なのだ。その証拠に、関東大震災を77日で収拾した山本権兵衛首相を偉人と称える人はいない。  以上、現在の野党や自民党の他の政治家に比べればマシ、という点が安倍内閣の支持率が下がっていない理由だ。それに、日銀の金融緩和で景気は回復軌道にあるので、国民は安倍内閣に我慢できている。しかし、災害対策ができるのだから、この総理大臣で我慢しろと言うのは、情けない話だ。

悪くなる要素しかないが代わるマシな政権もない

 では、このまま安倍内閣が参議院選挙を乗り切ると、どうなるか?  10月1日には消費増税が待っている。景気がどの程度悪くなるのかわからないが、よくなる見込みはゼロだ。選挙後には、皇室典範の改悪に乗り出すだろう。愛子天皇待望論に乗って、女性宮家創設や女帝復活、はたまた女系容認にまで乗り出すか。  対外関係では、アメリカのご機嫌を取りつつ、中露北の周辺諸国に気を遣い、韓国にだけは口先だけの抗議を繰り返す。自力で国防努力をする見込みなど、カケラも見えない。  法律は内閣法制局、行政(予算)は財務省主計局、選挙は創価学会に丸投げしている限り、つまり戦後レジームを脅かさない限り、安倍内閣は安泰だ。  以上、悪くなる要素しかないのだが、代わるマシな政権もない。  ならば、現状での最適解は「決められない政治」に戻すことなのか? 破滅するよりは、マシだが。 ※この記事は、週刊SPA!5月28日発売号掲載のものです。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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