80日間ならぬ80時間で世界一周は可能か!?
今年はジュール・ヴェルヌの小説『八十日間世界一周』が発表されて140周年。移動手段といえば馬車や鉄道、蒸気船ぐらいしかなかった当時としては大変な冒険だったわけだが、今や80日間もかけて旅行してたら会社をクビになるし、別の意味で大冒険だ。
だったら、80日ならぬ80時間で世界一周してみよう! というわけで、実際に試してみたのが、ウィークリー・ワールド・ニュース・ジャパン編集長・近兼拓史氏。予算10万円台を目標に、近頃話題のLCC(格安航空会社)と大手航空会社のディスカウントチケットを組み合わせ、現代版の超速冒険旅行に挑んだのだ。
「まず、コース設定とその間のLCCチケットの確保が大変。時差や乗り継ぎを自分で計算して、最速乗り継ぎと最安価格を計算するのはハクション大魔王並みに泣けてくる作業でした」と遠い目で語る近兼氏。ありえないほど短い滞在時間で入出国を繰り返したため、運び屋やテロリストと間違われたこともあったという。
「何度も繰り返されたセキュリティの荷物チェックと、各国紙幣と硬貨が混ざった財布が強敵。旅の後半になるほどに頭が回らなくなって、適切な受け答えができなくなったり、レジで金額ちょうどの支払いができなくなったりします。モタモタと時間がかかることで、よけいに不審に思われることがプレッシャーでした」
5カ国6都市を0泊3日半という超弾丸ツアー。しかも、ほとんどの時間を飛行機での移動に費やすため、肉体への負担もハンパじゃない。
「2日、3日と旅が進んでいくごとに、上空の低気圧でグツグツと脳が泡立っていくような感じ。顔はパンパンにむくんで、手のひらは紫色になってカユくなります。慢性高山病って感じでしょうか。あと機中は極端に乾燥しています。途中何度も水分補給しているんですが、体がフリーズドライ状態に。芯までひからびている感じでしたね」
そんな珍道中の一部始終を著書『80時間世界一周』(扶桑社新書)にまとめた。駆け足で回ったからこそわかる世界の国々の文化の違い、LCCの上手な活用法など、面白くて役に立つ異色のルポとなっている。この本を読めば、きっとあなたも世界一周の旅に出たくな……くなるかもしれないが、もし同様のチャレンジをしてみようと思った人がいたとしたら、何かアドバイスはありますか?
「LCCは機内食もありませんし、ほとんど野菜とか取れません。だから、サプリやビタミン剤は必携かも。あと、やはり機中泊だけでは疲労が溜まります。途中1泊するか、空港の仮眠施設を利用してシャワーを浴びる時間を確保できれば、体調も回復して心底楽しめるでしょう。まあ、体の負担を考えると、最低でも“100時間世界一周”ぐらいにしたほうが無難でしょうね(笑)」
いやいや、100時間でも相当キツイと思います……。 <取材・文/新保信長>
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