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有事の今、日本国民を殺す政治家は誰だ?/倉山満

無力な安倍政権を支え続ける枝野幸男は政権担当恐怖症か、はたまた安倍さんの「男妾」か?

 事ここに至っては、これ以上の拡大を防ぐために、外出を減らすしかない。この効果は一定数あると言われているが、今の時点ではエビデンスが無くても、トライアンドエラーでやってみるしかない。しかし、実験にしては巨大すぎる。安倍首相は「このままでは、最大8万人の感染者が出る」と外出自粛のみならず、緊急事態を宣言した。仮にこの数字が正しいとしよう。新型コロナに感染した5%が重篤者となる。その4000人の為に、国民の自由を制限し、日本経済を止めるのか。しかも、そのすべてが死亡する訳でもない。これでは、経済苦による死者が上回りかねない。  ならば、十分な補償が必要である。たとえるならば金融緩和は輸血である。止めると即死だが、今の日本経済は輸血だけで支えられるほど甘くはない。そこで財政出動の出番となる。その要諦は二つ。消費減税と国民への一律給付だ。  だが、自民党は、その二つにだけは徹底的に抵抗する。公明党に言われないと何もしない。自民党に投票した人間にだけ分け前を与える習性が、染みついて離れないのだ。国民全員に恩恵が行きわたるのでは、ありがたみが無いと信じ込んでいるようだ。そういった自民党やぶら下がっている業界団体、そして彼らを差配する官僚に、安倍首相は逆らえない。7年も政権を独占していて、この無力である。  ここで普通の人間なら倒閣、政権奪取を考えるだろう。ところが、枝野幸男という人は、どうしても安倍内閣を倒したくない。政権担当恐怖症か、はたまた枝野さんは安倍さんの「男妾」なのか。真面目に分析する価値が無いが、一つだけ言える。安倍と枝野はグルであり、二人とも国民の敵だ。枝野は減税と一律給付に徹底反対だ。かくして反対勢力はまとまれない。絶望的だ。  では、信頼できる政治家は、どこにいるか。こういう時は、地方の首長を見ればよい。  嗅覚を発揮したのが、東京都知事の小池百合子だ。3年前に盗り損なった天下を、再び狙っている。「国がやらないなら、都がやる」と補償を明言した。これで7月の都知事選は再選確実の大人気、その次には首相を見据えている。  人は、殺されそうになった時、手を差し伸べてくれる人に感謝するものだ。その人物が、自分を殺そうとした相手だとしても。そもそも不用意に「ロックアウト」などと口走って都民を地獄に突き落としたのは誰か。騙されない為には、その人間の過去を忘れないことだ。  一方、大阪の吉村洋文知事は、誠実さで人気が急上昇している。バラエティー番組にまで出て「本当は補償したいんですけど、すいません」と頭を下げ続ける。官僚の書いた作文を朗読する首相や、自粛の要請を企業のプレゼンか自分の選挙活動と勘違いしている都知事とは大違いだ。  大阪はさすが、人情の街だ。のみならず、維新の会を嫌う京都人までが吉村知事の懇請に応え、外出が9割減だとか。吉村知事は後から補償金をひねり出した。立派ではないか。  金は心を支える最も大事な道具である。金が無ければ心も持たないが、心を忘れて札束で人の頬を叩いた人間を忘れてはなるまい。  そしてもう一人、友人を紹介したい。長野恭紘別府市長だ。10億円以上を投じ、市役所臨時職員500人の雇用を確保した。この数、全国最大規模として話題になった。本人に聞くと、市の蓄えをほぼ全部吐き出すことになるそうだが、必死に捻出したそうだ。  探せば、未来の日本に希望を見つけられるはずだ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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