「営業成績」が賭けの対象。職場で“野良賭博”に興じる営業マンたちの日常
今年8月に福島県鏡石町の町役場の職員が課長以上の人事を予想して現金を賭ける「人事ロト」を行っていたことが発覚。町は賭けを企画した男性らを減給処分にした。しかし、こうした職場での“野良博打”はこの町役場に限った話ではないようだ。
「上司も黙認していたというか、普通に参加していましたね。当時は別に賭けだとも思っていなかったです。聞かれてよく考えてみたら、あれって賭けだったなと気づきました」と明かすのはコンサルティングファームに勤務する玉井裕子さん(仮名・31歳)。
就活では自分の裁量で働ける実力主義の業界を志望、都内の私立大学を卒業後は社員200人ほどの人材サービス会社に就職した。入社後は広告営業などの業務を経て、人材コンサルタントとして働いていたという。
「当時はインセティブ報酬がすごくて、同年代に比べたら給料はかなりよかったです。営業目標を達成すれば月単位でも『クォーター』と呼ばれる3か月単位でも、わりと大きなインセンティブが出ていたので、1年足らずで年収500万円以上はコンスタントに稼げるようになりました。もっと稼ぐ人も珍しくなくて、3年目で1000万円とか稼ぐ同期もいましたね」
同期はほぼ全員が派遣先企業の開拓などを担当する営業職。目標に対する達成度や売上実績が1か月、3か月ごとにランキング化され、社内メールなどで全員に共有されるという成績至上主義の営業会社だった。そんな玉井さんが勤めて部署で「賭けの対象」になっていたのは営業成績だ。
「営業成績が15日間、30日間、3か月間のスパンで締まるんですけど、インセンティブの額が大きい30日間、もしくは3か月間単位で賭けることが多かったです。自分が賭けの対象だった時期もあるのですが、決まった賭けのルールはなく、気分で変えていました。個人ではなく、チーム単位や属性別で賭けることもありましたね。だいたい営業が強い人はわかってくるし、基本的に会社は営業部の中のチーム対抗で売り上げ見ていたので。ランキング上位3チームを当てる3連複みたいな賭け方もしたし、ほとんど馬と一緒ですね」
職場の恒例行事になっていた賭け行為
ルールは「ほとんど馬と一緒」
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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