五条は最強ですし、有能です。しかし、その有能さがゆえに「自分一人が頑張ればいい」と思ってしまうと、そこに落とし穴があるのです。 　最強である五条には自分が敗れる未来が想像できないのかもしれませんが、もしも自分が敗れた場合、いったいどうなるのか。 　ここまで考えて、自分がいなくても最悪、回るような構造にしておくのが、彼の本来するべき仕事ではないでしょうか。 　作中最強である五条ですが、人の上に立つ人間としては、ちょっと個人としてのスケールが大きすぎるのではないか、というのが僕の感想です。 　むしろ、彼は一人で何でもできるのですから、組織に所属せず、ひとりで勝手にフラフラとしている方が、お互いのためでしょう。組織からしても扱いにくいですし、五条からしても組織全体に不満を持っているような描写は多々見られます。 　メタな視点から分析すると、強すぎるがゆえに作者の芥見先生からもなかなか扱いにくいのでしょう。なにせ、このキャラが出張ったら間違いなく勝ってしまうのですから、迂闊に出番を増やすと、一瞬で『呪術廻戦』という作品が終わってしまいます。 　ともあれ、ついに単行本18巻も発売され、物語は佳境に入ってきたように思います。いつかこの作品も終わってしまうと考えると悲しいですが、これからのストーリー展開が楽しみですね。1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。（Xアカウント:@Temma_Fusegawa）