1箱1000円の世界! ニューヨークのタバコ事情
アメリカ・ニューヨークのとある街角。雑貨屋に入り、店員にお奨めのタバコを聞いてみた。すると、「一番、人気があるのはコレだね」と差し出されたのは、日本でもなじみの深いマルボロ。だが、その価格にビックリした。
「1箱14ドルだよ」
じゅ、じゅうよんドル!? 日本円に換算すれば、おおよそ1120円(1ドル=80円)にもなる。ちなみに、日本でのマルボロ1箱の価格は440円だ。日本では’10年10月から、タバコ増税に伴い価格が1箱で約100円上がったが、ことニューヨークに比べれば、その値段はまだはるかに安い水準なのである。さらなる値上げも議論されるなか、「1箱1000円までは吸い続ける」などと思っていた喫煙者もいるかと思うが、ニューヨークでは”リアル1000円”の世界が広がっていた。
「実際、ニューヨークでもやめる人がドンドン増えていますよ」と話すのは、ニューヨーク在住の日本人カメラマンだ。
「ニューヨークでは毎年のように、増税によってタバコ価格が上がっているんです。最近では’10年に州税が上がって、今では1箱あたり4.35ドルの税金がかるんです。ちなみに、消費税も8%かかります」
それに伴い、メーカーも値上げを繰り返し、今では店頭で売られているタバコのほとんどの銘柄が11ドルを超えているのだそう。
◆公共の場で吸える場所は皆無。その結果……
また、日本と同様、いや、むしろそれ以上にニューヨークではタバコを吸える場所がない。ニューヨークでは、’11年5月から市議会による公共の場での禁煙を義務付ける条例が施行された。その結果、レストランやファストフード店や公園はおろか、バーやライブハウスでもほぼ全面禁煙。最近では、「全室喫煙のホテルやアパートメントも増えている」(前出の日本人カメラマン)という。
では、追い詰められたスモーカーは自宅でこっそり吸っているのか……といえばそうでもない。堂々と路上喫煙をしまくっているのだ。街中を歩くと、その”歩きタバコ”の多さが目につく。いたるところにタバコの吸い殻が放置され、ランドマークの一つ、マディソンスクエアガーデン前の植木鉢のなかは、さながら灰皿のようになっていた。同条例では違反者には50ドルの罰金が科せられるのだが、ほとんど形骸化しているということなのか……。
ちなみに同様の方策はヨーロッパでも行われているそう。イギリスから来たある男性は、「ロンドンも吸える場所がなくなって、皆路上で吸っている。けど、ロンドンは寒いから路上喫煙が辛い。おかげでやめる人が増えすぎて、逆に税収が悪くなってるよ」と話す。
話は冒頭に戻り、あまりの高額さにげんなりした記者は、「一番安いタバコを教えてくれ」と店員に聞いてみた。すると「これなら5ドルだよ」と差し出されたのは「Cheyenne」という銘柄だった。試しに吸ってみると……「マ、マズイ。やけにフィルターが硬く、辛い」(あくまで記者の主観です)。そんな様子を見た店員が言う。
「ハハハ、だろう。だからあんまり吸う人はいないんだよ。皆、高いけどガマンしてマルボロとか買うんだ」
そんなニューヨーカーたちの姿に、どこか日本の将来の姿を見た気がした記者だった。 <取材・文・撮影/秋山純一郎>
- マンハッタンの中心街の風景
- マディソンスクエアガーデン前の植木鉢はこのような状態に
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