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轟音のなか、人が吊られる異色イベントに潜入【閲覧注意】

 バンドが演奏するなか、マグロ釣りに使うようなフックで人を吊るす……。そんな悪夢のようなライブがあると知り合いの音楽通から情報をキャッチした筆者。はたしてどんな地獄が待っているのかと怯えつつ、早速アンダーグラウンドカルチャーを主体としたイベントGRIND CHAOSに潜入した。

*以下の記事には刺激的な写真が含まれます。

GRIND CHAOS

サスペンションとグラインドコアの異種格闘技戦が実現

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=767120

◆パフォーマーの身体にフックが喰い込む

 会場となった都内某ライブハウスに足を踏み入れると、白塗りにカラーコンタクトのゴス風メイクやピアスをした客が多く、場内には早くも妖しい空気が充満。夏フェスなどには足を運んでいる筆者だが、刺青やボンテージでドレスアップ(?)した観客に思わず身構えてしまった。しかし、そんな刺々しいビジュアルとは裏腹に女性客も多く、ライブがはじまると重量級の音塊を発するバンドの演奏に男女関係なく暴れていた。

東京の3人組グラインドコアバンド ORGASM GRIND DISRUPTION

 そして、イベントも中盤にさしかかったころ、いよいよ国内唯一のプロ・サスペンションチームTHE HOOKERSと東京の3人組グラインドコアバンドORGASM GRIND DISRUPTION(以下O.G.D)が登場。あまり馴染みのない言葉だが、サスペンションとは人体にフックを通して吊り下げる身体改造の一種。グラインドコアとは、パンクをより速く暴力的に発展させた音楽ジャンルだそう。

THE FOOKERS 1

国内唯一のプロサスペンションチームTHE HOOKERS

 注射すら苦手な筆者にとって、観客のファッションだけでも十分ショッキングだったが、そのあとに待ち受けていた光景はその比ではなかった。O.G.Dの演奏がはじまるや否や、その横でTHE HOOKERSがぶっといフックをパフォーマーの身体に突き刺していく。1曲数十秒の曲が矢継ぎ早に放たれる横で、人が吊り上げられる様子はまさに地獄絵図そのものだ。耳には今まで味わったことのない大音量が、そして視界にはフックに刺された痛々しい肉体が飛び込んでくる。愕然とする筆者をよそに、ステージに向かって右側にはO.G.Dのライブを楽しむ客、左側にはTHE HOOKERSのパフォーマンスを見る客と、フロアには二つの渦が発生。場内は逃げ場なしの修羅場と化した。

 THE HOOKERS側では、次々にパフォーマーが登場し、膝や胸、内股、背中など、身体のありとあらゆる部分にフックを刺されては吊り上げられていく。ホラー映画のような世界観に思わず目を背けながらも、つい見てしまうのは事故現場や衝撃映像を見る感覚に近い。あまりに非現実的な様子に「人間の皮膚はこんなに伸びるのか……」と、恐怖を通りこして感心してしまった。

鋭いフックが肉体を持ち上げる......

 そんなパフォーマンスにO.G.Dはカヴァーも交えた蛮曲の数々で応酬。もはや、なんの曲をプレイしているのか判別不可能なほど音はひしゃげているが、ライブが進むにつれ不思議とグルーヴ感は増していく。聞くというよりは浴びるというほうが相応しいかもしれない。

OGD 2

O.G.Dの熱演に場内もヒートアップ

 曲間もMCは一切なく、ひたすら曲をプレイしていくが、けっしてぶっきらぼうではない。ヴォーカルが観客一人一人を指差しながら笑顔を見せるなど、凶悪なサウンドとは対照的に場内は一体感に包まれる。

 演奏中は逃げ出しそうになったが、終わってみればあっという間。約1時間・全51曲という強烈なパフォーマンスだった。通常のバンドのライブ二回分ほどの楽曲が詰め込まれただけに、その濃さは尋常ではない。終演後はぐったりしてしまったが、ここでしか見ることのできない目にも耳にも痛いコラボレーションであった。

◆ライブ以外のパフォーマンスも盛りだくさん

 その他にも、それぞれまったく毛色の違うバンドやパフォーマーが出演したGRIND CHAOS。DJタイムではメタルやハードコア、ビジュアル系やアニソンなどさまざまな音楽が流れていたが、コアでありながらもある意味懐が広いのは魅力だった。

フェティッシュな服装のダンサーも登場

 また、ボディ・ペインティングのように身体に墨を塗る書道パフォーマンスや、ガスマスクを着けフェティッシュな服装をした女性のダンスなど、ライブ以外の見どころも満載。今まで目にしたことのない刺激的な世界にドキドキしてしまった。次回は来年2月に開催予定だが、普通の音楽イベントやフェスティバルに飽きたなら、ぜひ足を踏み入れてみてはどうだろう。新しい自分が見つかるかもしれない……。 <取材・文・写真/林バウツキ泰人>




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