「丁寧な暮らし」とか言ってる中年サードウェーブ男は痛々しい
ひところ前から「丁寧に暮らす」などといったフレーズが世間に広がっている。
もともと、オーガニックなどを愛する女性向けのメディアでしばしば使われていたが、最近では男性でも「丁寧な暮らし」を標榜する人が増えつつある。「サードウェーブ男子」と一部で呼ばれている層がそれだ。
なぜ彼らは、都会にいながらにして、ナチュラルでオーガニックな「丁寧な暮らし」を求めてしまうのか。コラムニストの石原壮一郎は、彼らの心理についてこう分析する。
「サードウェーブ男子たちが言う『丁寧な暮らし』というのは、あくまで『こんなライフスタイルを送っている自分は、かっこいいだろう』と周囲に誇示するための道具だと思うんです。だって、ただ丁寧に暮らしたいだけだったら、ニューバランスもブルーボトルも、必要ないはず。でも、彼らは周囲に自分を良く見せたいからこそ、わかりやすい流行のブランドやお店などのキーワードを持ちだすのだと思います」
自分の人生を良く見せたいと思う心情は人の常。だが、なぜ、あえて「ナチュラルで丁寧な暮らし」というキーワードにこだわるのか。
「ただ単純に流行のモノに飛びつくようなライフスタイルを送っていても、ミーハーなだけで、その背景にはなんの哲学も感じられない。でも、『丁寧な暮らし』というキーワードがあれば、なんとなく自分が哲学を持って行動しているように見せられますよね。個人的には、お手軽に都会と田舎の両方のいいとこ取りをしようとしているような気がして、ちょっとセコいなぁって思ってしまいますが(笑)」
せわしない都会にいながらも、丁寧な日々を送っている自分を周囲に見せることで、周囲と自分を差別化しているということなのか。
「あくまで、サードウェーブ男子たちの言動の多くはファッション感覚で、『自分がどう見られているか』が肝心。正直、自分の本質はどうでもいいんだと思います。若いうちは誰しも自分を大きく見せたいものなので、かわいげもありますが、中年にもなってそんな言動をとる人は、少し痛々しい気もしますね」
また、石原氏はこうも続ける。
「本当に丁寧な暮らしがしたいのならば、田舎に引っ越して、道で遭遇したトカゲを素手で押さえつけて、尻尾だけ残して逃げられたりするのを楽しむくらいじゃないとね。ブルーボトルに行ったことをSNSにアップするより、残されたトカゲの尻尾を持ち上げて、しげしげと眺めるほうが、もっとなにか深いものを感じとれると思いますよ。でも、口では『自然を愛する』と言っておきながら、部屋に虫がいるぐらいでも大騒ぎするのもこのタイプが多い。だから、本当に彼らが田舎で生活しようとしても、やってはいけないでしょうけどね」
石原壮一郎氏●コラムニスト。『大人養成講座』『大人力検定』などの著書を発表した「大人力」の第一人者。近著に、多くの人生相談を集約した『日本人の人生相談』(ワニブックス)など
<取材・文/週刊SPA!編集部>
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