若い女子にすり寄るオジさんたちのイタい言動――名言引用、別れる詐欺、中身を愛しているアピール…
鈴木涼美。「シャネルやヴィトンみたいなわかりやすいブランド品が好きなんです。それと同じ感覚で、慶應、東大、日経、作家……いろんなブランドのタグを集めてたらいつの間にかこうなっていました」と笑う彼女が出会った滑稽なおじさんたちもまた様々だ。
夜の仕事の経験を生かして、「いろんな人のオモテの顔とウラの顔を描いていきたい」と語る鈴木氏が最新刊で描いたのは、ずばりおじさん。中学生時代から現在に至るまでに出会ったさまざまなおじさんの、オモテでは絶対に見せない哀しい所業を一冊にまとめた『おじさんメモリアル』。
「特にお金を払って女を買う、というような場面では、普段見せないような男性の一面があらわになりますよね。今まで、体を売る女の人たちの内心をアカデミズムの立場から男性が分析するような作品はありましたが、女を買う側の男性の内心を描いたものは少なかったように思うので、そこを掘り下げてみたいと思ったのが執筆の動機です。それに、女を買う男の心理を、男性自身に語らせたら、都合のいいロマンチックな物語にまとめられてしまいそうで、おまえたちの口から語らせてたまるか、という気持ちもありました(笑)」
作中に登場するエピソードのなかで、「女を買う」という場面ではなくても、日常生活のなかで読者諸兄もしでかしてしまいそうなおじさんの所業が次の6例だ。気づかぬうちに滑稽な振る舞いをして女性に冷ややかな目で見られていないか振り返ってみたほうがよいかもしれない。
肩書を多数持つ生き方「スラッシャー」。一つの職業、価値観にとらわれない生き方が注目される昨今だが、彼女ほど肩書の総合点に破壊力がある女性も珍しい。その名は女を買う男を女側から描く
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『おじさんメモリアル』 著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年 |
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