ドラッグストアのお姉さん・完

 考え得る、あらゆる仮病を捻出しては
例のドラッグストアに通い詰めていた私だが、
例の美人の薬剤師のお姉さんは、
あたかも私を避けるかのごとく、
いっこうに姿を現さない。

 思い切って……、
私のなかでは本当に
ものすごい勇気を振り絞って、
レジに立つおばさん薬剤師に聞いてみた。

「あのぉ……ちょっと前にいた
ロングヘアの薬剤師のお姉さん、
最近見かけないですよね?」

 なるべく
「あ、そーいえば……」
的な、フランクでさり気ない口調で
語りかけたつもりなんだが、

すでにそういう質問を何度も受けているのか、
そのおばさんはニヤッと微笑み、

「はいはい。あの子はねえ、
研修で来ただけだから
ずっとウチにいるわけじゃないのよ」

と、私が購入したトイレットペーパーに
店のロゴが入っているテープを貼り付けながら、
まるで、幼稚園児を

「サンタさんは
クリスマスの夜にしか
来てくれないのよ」

と、諭すような物腰で教えてくれた。

 あっけない幕切れである。

「じゃあ、失恋につける薬はないのですか?」

 そうレジのおばさんに返せるようなら
私もたいしたものだが、

 もちろん、それは無理だった……。

〜Fin〜

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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