俺の夜
毎年、年初に一年の目標を立てている。厄年が明けた今年、’19年の目標はガチムチである。たるんだ体に喝! 年明けからこっち、日々是筋トレの日々を送っているのだが、ジムには通うものの体重は落ちない、筋肉はつかない、ただ疲れるだけ……。果たしてこのまま通い続けてもガチムチになれるのかと不安になっていたある日、嫁がパソコンを見ながらキャーキャー言っているので、覗き込むと、そこにはワニの腹のように割れた腹筋と隆々とした背筋を見せつける男たちの姿があった。
そんな嫁の一言が胸ならぬ、たるんだ腹にグサリ。その翌日、私はホームページの店、マッスルバー赤坂の扉を開けたのであった。
筋骨隆々たる肉体美の世界
扉を開けると、そこにはムッキムキの男たちがズラリ。そのあまりにも勇壮な姿に、思わず口をポカーンと開けてしまう。そんな私を尻目に、口開けにもかかわらずひっきりなしに女性客が訪れ、あっという間に満席。店員たちがお出迎えをするたびにキャーキャーと黄色い歓声が店内に響く。
ガチムチな筋肉自慢の店員に囲まれながらプロテインで乾杯!
ガチムチに憧れてはいるものの、さすがに私がキャーキャー騒ぐわけにはいかないので、店員の“兄貴”たちに振る舞い酒をすることに。だが、そこはマッスルバーである。振る舞ったのは酒ではなく、プロテインであった。
プロテインをジョッキに入れていざ乾杯。そこで始まったマッスルバー名物の乾杯コールで、店内のボルテージは上がっていく。ドリンクを運ぶたびに筋肉を見せつける店員は、話す言葉の語尾には「マッスル!」と付け加える。店内のそこかしこで筋肉を見せつける店員と、マッスルコールが響き渡り、そのたびに女性客から歓声が上がる。酒を飲んでないのにこのテンションの高さは、いったい何なのだ……。数々の夜の店を取材してきたが、こんなテンションと盛り上がり方は初めてである。店内のマシンを使って空いた時間は筋トレ!
気になるお値段は90分飲み放題で女性は3000円、男性は4000円。店長によれば、やはり女性客が多いのだが、女性に連れられてくる男性や筋トレ好きの男性客がやってくることも多々あるそうだ。確かに、アフターや同伴で飲み屋のネエちゃんを連れてきたら確実に盛り上がりそうである。後日、馴染みのスナックのチーママにこの写真を見せると「ちょっと連れてってよ~」と、初めてのアフターおねだりをいただいたのであった。ジョッキ一杯のプロテインを飲み干し、店を後にした私は、そのままジムへ。なんとも健康的な一夜となったのであった。
【マッスルバー赤坂】
住:東京都港区赤坂3-20-9 岩澤ビルB1
電:03-6886-7001
営:火~土20時~翌3時/ 日19~24時
休:月
料:女性3000円、男性4000円(飲み放題)
チップとして1枚100円のマッスルドルがあり、10枚単位で購入可能
撮影/赤松洋太
「志木って知ってる?」と、唐突に夜遊び仲間の高木先輩から言われたのだが、まったくもって馴染みもなければ思い当たる節もない。そもそも東京に住んで20年以上たつのだが、東武東上線に乗ったことなど数える程度だ。
「イイ店!」
と一言。高木先輩が言うならば、間違いはないだろう……ということで、仕事をそそくさと終わらせて、池袋から東武東上線に駆け込んだのであった。
電車で30~40分はかかるだろうと思って覚悟していたのだが、急行で20分。予想以上に早く到着して拍子抜けしてしまった。ちなみに志木駅は志木市になく、新座市にあると知り、不思議な気持ちになった。駅前にはデパートの丸井、路地を見ると楽しそうな店が何軒もあり、この街、意外と楽しいんじゃ……と嬉しい予感が漂う。駅前で高木先輩と合流して向かったのが今回のお店、LUXEだ。
池袋から20分の志木は夜のオアシスだった
店の扉を開ける前から漂う“パラダイスタウン”の空気に期待を寄せていたのだが、その予感は見事的中。結論から言うと、電車を2度乗り継いでもまた来たいと思ったくらいに楽しかった。
席に着いたあやチャン(27歳)、りおチャン(25歳)、ゆりチャン(26歳)の3人とまずは乾杯。さて、志木の地元娘と埼玉トークでもしようと出身を聞くと、地元はあやチャン1人だけ。りおチャンは静岡、ゆりチャンに至っては佐賀だという。佐賀と聞いて、私、胸が熱くなってしまった。なぜなら、今から12年前、原付で九州まで旅打ちをして、最後に行き着いたのが佐賀の武雄競輪だったのだ。「実は原付で佐賀まで行ったんだけど、最後は嬉野温泉で肌ツルツルになったよ。ちなみにおじさん、サッカー好きだから鳥栖のスタジアムは2回行ったことあるよ」
なんて思い出話をすると、
「え~私、鳥栖って地元ですよ」
この話に佐賀のゆりチャンが大ウケ。そして食いついたのが静岡のりおチャン。
出身地ネタで盛り上がり酒もトークも弾みまくる!
「そうそう。いろいろワケあってね。あの旅で一番の思い出は静岡だね。静岡の長さに心折れて、中田島砂丘で野宿しそうになった」
「アハハハ。わかる、静岡ってものすごく横に長いんですよね~」
まさか12年前の思い出話がネタになるとは思いもよらなかった。だが、最近わかってきたのだが、適当な地方ネタほどその土地出身の女のコにはウケるのだ。
ちなみにこちらのお店、地元出身者も多いのだが地方出身者も数多く在籍しており、飲むといろんな地方の方言が飛び交うこともあるのだとか。ラグジュアリーな店内で地方ネタを肴に飲むという楽しさ。雰囲気も女性も都内の高級店に引けを取らない。つっけんどんなお高い女を相手に1時間1万円も払って酒を飲むより、池袋から電車を20分乗って楽しい話ができてお酒もグイグイ飲んでくれるカワイイ女のコと50分5000円で飲んだほうが、精神衛生上も財布にも明らかに優しい。
店長によれば、志木は東武東上線では川越に次ぐ夜遊び激戦区で、実に30軒近いキャバクラやスナックがしのぎを削っているという。そんな激戦区で勝ち残っているからには、それなりのワケがある。そのワケは……行けばわかるさ、その楽しさとでも言っておこうか。ガラガラの終電で、余韻に浸って思わず顔がニヤけてしまった。
【LUXE】住:埼玉県新座市東北2-30-25 パル8番街ビルB1
電:048-487-0117
営:20時~ラスト
料:20~21時(50分3000円)、21時~ラスト(50分5000円)税サ別
「SPA!見た」で焼酎キープボトル1本プレゼント
撮影/赤松洋太 取材協力/高木先輩
近所のスナックで飲みながら唐突に話を振ってきたのは、娘の保育園のパパ友であるイトーさん。なんでも昔の同僚が博多に転勤して、あちらの楽しさにどっぷり浸かっているのだとか。
「メシは旨いし、酒も旨い。スレッからしの東京女とは違った情があるんですよ、あっちの女は」
イトーさんは、まるで昔を懐かしむように博多を語る。かくいう私も何度かの博多出張はオイシイ思い出しかない。だが、いずれも弾丸出張で骨の髄まで博多を堪能したとは言えないことばかり。ならば一度、腰を据えてしっかり遊んでみようと思い立ち、博多へ飛んだのであった。
旅に出たなら、地元の旨いものが食いたくなるように、地元のオイシイおねえちゃんたちと遊びたくなるのは男の性。できることなら“屋台”ではなく“高級料亭”を楽しみたい。そんな私のリクエストを聞きつけて、オススメしてもらったのが今回のお店、博多最高級ガールズバーのBARかぐやだ。
高級クラブのような内装に思わずビックリ
扉を開けて飛び込んできたのは、入り口から店の奥へと続く7m近くはある一枚板のカウンター。そして重厚なソファチェア。しっとりと落ち着いた照明の店内に、美女の姿がチラリ。銀座の高級クラブのような内装で、思わず見とれてしまった。
カウンター越しに相手をしてくれたゆうチャン(28)とともチャン(32)。2人とも生粋の博多っ子だ。そんな2人と芋焼酎の水割りで乾杯。落ち着いた雰囲気なので、オーセンティックなバーでマティーニを飲んでいるような気になるから不思議である。だが、そこは博多。しかもガールズバーである。変に気取る必要はない。最近、流行している芋焼酎のソーダ割りをガンガン飲みながら、夜は更けていく。旨い酒で男を酔わす博多美人と飲み明かす!
「今日はどこから来たんですか?」ゆうチャンがニコニコしながらお酒を作ってくれたので、東京から来たことを告げた。
「東京? 私、ずっと東京出身の人と付き合ってて、一時期、もう東京の人としか付き合えないって思ってたんですよ~」
う~ん、この男心をくすぐる会話がたまらない。もう、すべてを捨てて博多に移住したくなる。
芋焼酎のソーダ割りを作る姿はなんとも艶やかな博多美女
ガールズバーといえば、カウンター越しの接客が基本になる。そのため、隣に座った接客が好きな男からすると物足りないという声もあるが、私はこのカウンター越しという適度な距離感が実はたまらなく好きなのである。こちらの店はその距離が特大の一枚板のテーブル。旨い芋焼酎を飲みながら、2人との間には流れる時間はなんとも優雅なものなのである。ワンセット90分で1万円。博多でもあまりない高級店だ。だが、ノリのいい博多美人と飲んで90分たったの1万円は安い。限りなく安いと感じた。楽しい時間には終わりもある。名残惜しい気持ちのまま店を出ると小腹が減っていた。
「博多っていえばもつ鍋とか水炊きだけど、焼き鳥。焼き鳥おいしいんですよ、博多は」
ともチャンから教えてもらった、何軒かの焼き鳥屋に行ってみたのだが、残念ながら閉店時間を過ぎていた。仕方なしに中洲の屋台で安酒を飲みつつ豚骨ラーメンを食べながら、優雅な時間の余韻に浸ったのであった。
【BARかぐや】
住:福岡県福岡市中央区西中洲1-4プロスペリタ西中洲Ⅱ6F
電:092-707-3606
時:21時~翌4時
休:日(祝日は要確認)
料:90分1万円(税サ別)
「SPA!見た」で90分7000円ボトルサービス
取材協力/ポケパラ九州 撮影/赤松洋太