電車内でゲロをかけられた…相手を訴えることは可能?
多くのサラリーマンにとって避けては通れぬ「満員電車」。逃れようのない通勤・終電地獄に辟易しているサラリーマンを救うべく、取材班は有識者への徹底取材。満員電車をうまく乗りこなせる男になるべし!
「仮に嘔吐した相手を訴える場合、民法709条『不法行為による損害賠償』に則って、精神的苦痛や汚れた衣服・持ち物に対する賠償を請求することができます。ですが、こうした訴訟はなくはないにしろ、私自身、実際にそういった話は聞いたことありませんね」
そう語るのは、弁護士の徳原聖雨氏。賠償請求しにくい理由についてこう続ける。
「相手が嘔吐物をかけたことが故意なのか過失なのか、さらに嘔吐物によって被害者がどの程度の不利益を被ったかということが証明しづらいんです。『嘔吐物をかけられたせいで商談に遅れて破談になった!』と訴えたところで、そのトラブルがなかったら破談しなかったのかはわからないですよね。現実的には、衣服や持ち物のクリーニング代、もしくは減価償却を加味して買値のいくらかが返ってくるといったところでしょうか」
弁護士費用などに鑑みると、訴えるというのは得策ではないようだ。ということは、泣き寝入りするしかないのだろうか……?
「まずは嘔吐した相手とともに最寄りの駅で降りるべきです。とはいえ相手は体調不良、もしくは酩酊状態でしょうから、第三者として駅員を交えて話し合うほうがいいかもしれません。その場合には、連絡先、住所を交換しておき、後日示談の話し合いという流れになると思います」
電車という毎日利用する公共空間だからこそ、こういったトラブルが起きてしまったときも慌てずスマートに対応したいものだ。
【徳原聖雨氏】
弁護士。弁護士法人・響の福岡オフィス支店長。離婚・相続・借金問題など民事案件を主に扱う。テレビ・雑誌などの出演多数。福岡県弁護士会所属。TEL:0120-205-376
取材・文/大格宗一郎(本誌) 臺代裕夢 撮影/時永大吾
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嘔吐した相手を訴えることは可能?
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