なぜ週刊文春だけがスクープを連発できるのか?【週刊文春編集長×大根仁監督】
大根:張り込みの手法については、もちろん映画的な嘘も混ぜていますが、だいたい間違ってないですよね? びっくりしたのは、斎藤工くん演じる若手イケメン議員のエピソード。あれは小泉進次郎さんをイメージしていて、彼はすごくガードが固そうだから、もしスクープされるならホテルに誰かを呼び出したところを撮られるパターンかなと、ほぼ想像で脚本を書いたんです。そしたら去年の夏、『文春』で本当に彼のホテル密会がスクープされて、「現実が追いかけてきた!」と興奮しましたね。
新谷:あのシーンはすごくリアルだと思いました。取材ターゲットと同じエレベーターに乗り込んで、何階に滞在しているか確かめる、という手法は日常的に使っているんですよ。
大根:ちなみに、打ち上げ花火にも元ネタがあって、あれは大昔に『FOCUS』が、入院しているターゲットを窓際におびき寄せるために外で爆竹を鳴らしたというエピソードをアレンジしました。映画のように、記者やカメラマンが危ない目に遭うこともあるんですか?
新谷:元少年Aに走って追いかけられたときは、優秀な男性記者コンビが「一番怖かった」と言ってましたよ。「シャレにならないっすよ」と、編集部に戻ってきてからもまだ震えてましたから。僕らの仕事は究極の結果オーライなところがあって、いくら段取りを立ててもその通りにならないことのほうが多いし、トラブルはつきもの。とっさの判断でもう直撃しちゃえとかここで撮っちゃおうとか、最後は野性の勘が勝負なんですよね。そして、勘がいいカメラマンほど動物的なハンターの素質があるのか、よくモテる(笑)。都城静を演じる福山雅治さんは、そういうカメラマン特有のオスのフェロモンがよく出ていましたね。
大根:世間の人たちは、週刊誌の記者やカメラマンのことを、「よくそんな仕事できるな」とか言って、はっきり見下してるじゃないですか。そのくせ、みんなスキャンダルは大好きで、報道されるとやっぱり読んじゃう。そのアンビバレントな構造を切り取りたいというのが、この映画を作る一番のモチベーションでした。
新谷:取材していても「あなたたち、人を不幸にして楽しいですか?」とか聞かれますからね。でも、私たちは決して人のプライバシーを暴き立てて不幸にしようと思ってやってるわけじゃない。ベッキーさんの不倫報道にしたって、彼女を番組やCMから降ろそうなんて思っていないんです。好感度ナンバーワンでこれまでスキャンダルのなかったタレントが、実は恋をしていて、しかも相手が妻帯者で、そのバンド名が“ゲスの極み乙女。”なんて、「おもしろすぎるでしょ、みなさん!」と伝えたいだけ。
大根:芸能人にしろ政治家にしろ、権威が落ちる瞬間に、人間は本能的な快感を感じるんじゃないでしょうか。
新谷:人間が人間である以上、ゲスな俗物である部分は誰しもが持っている。そこをかっこつけて建前で押し通すのか、ぶっちゃけて本音で勝負するのかというときに、『文春』は建前やかっこつけではない本音のメディアであるべきだと思っているんです。例えばアイドルだって恋もすれば酒も飲むし、泥酔して泣きわめく夜もある。そんな、単なる着せ替え人形ではない、人間としての一面を見せるメディアがあってもいいじゃないか、という気持ちです。
社会正義ではなく人間への下世話な興味
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