なぜ週刊文春だけがスクープを連発できるのか?【週刊文春編集長×大根仁監督】
大根:立川談志が「落語とは、人間の業の肯定である」という名言を残していますが、スキャンダルにはおそらくそういう側面があるんじゃないですか。
新谷:“業の肯定”とは、まさにその通りです。美しかったり素晴らしかったりする一方で、醜かったり愚かだったりする面もひっくるめて人間のおもしろさ。そういった“人間への興味”が、週刊誌報道の最大の原点だと思っています。ただ怖いのは、最近は一度焚き付けてしまうと、インターネットもテレビのワイドショーも、水に落ちた犬を安全圏からボコボコになるまで叩き続けるでしょう。そこは行き過ぎないように気をつけないと危ないなと我々も思っているんです。
大根:でも、いまや『文春』自体が雑誌を超えて、テレビや新聞と同じひとつの“メディア”になった風格すらありますよね。舛添元都知事や甘利元大臣の件にしろ、もはや『文春』が日本を動かしているんじゃないかって勢いですよ。
新谷:結果的にそうなってしまっているとしても、最初から「社会の悪を裁こう」なんて思うほど不遜じゃないですよ。舛添さんの件にしたって、私たちは彼のクビを取ろうとしてやっていたわけじゃないのに、やがてテレビが悪ノリし始めて、「どうやったら辞めていただけるんですか?」と会見で質問する記者まで現れた。あなたは何様のつもりだと。
大根:『文春』としては、世の中を正そうなんてつもりはなくて、あくまで“人間への下世話な興味”なんですね。
新谷:そうです。正義の味方になろうとはまったく思っていません。甘利大臣にしても、TPPの立役者でアメリカ相手に一歩も引かないタフネゴシエーターと言われていた人が、大臣室でとらやの羊羹と一緒にお金をもらっちゃうって、けしからんけど“おもしろい”じゃないですか。すべては意外な素顔が知りたいという人間への興味ですよ。「舛添を辞めさせろ」とか「ベッキーをテレビに出すな」なんて書いたら誌面も暗くなるし、後味も悪いでしょう。週刊誌ってそんな偉いものじゃなくて、新橋でお酒飲んでるサラリーマンや、昼下がりにランチ食べてる奥様たちが、「舛添ふざけてるよな」とか「ベッキーの手紙読んだ?」とかって話のネタにしてくれたら、それが嬉しいんです。目線は低くすることが何より大事だと思ってます。
対談はまだまだ続き、橋下徹大阪市長(当時)や甘利元大臣、元巨人の笠原被告、ゲス不倫ブームの取材秘話など「センテンススプリング」な裏話も満載。その詳細は福山雅治の表紙が目印、現在発売中の「週刊SCOOP!」でぜひとも確かめてほしい。<取材・文/福田フクスケ 撮影/尾藤能暢 構成/日刊SPA!取材班>
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