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髭男爵・山田ルイ53世が語る「あきらめる=引き分ける」ことの重要性

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山田ルイ53世。漫才コンビ・髭男爵のつっこみ担当。「ルネッサ~ンス」でブレイク。ラ ジオ番組「髭男爵山田ルイ53世の ルネッサンスラジオ」(文化放送) などに出演中

「ルネッサ~ンス」で一世を風靡したお笑いコンビ・髭男爵。その芸風は、“あきらめの境地”から生まれたものだったという。ツッコミ担当の山田ルイ53世氏に、「あきらめる=引き分ける」ことの重要性について聞いた。

「20代も半ばを過ぎた頃、同期が売れ始めたんです。でも僕たちは鳴かず飛ばず。『このままではアイツらに勝てんな』と。そこで正統派の漫才をあきらめ、貴族キャラを取り入れた漫才を編み出したらブレイクした。僕にとって“あきめる”とは、新しい可能性を受け入れ、前進することでもある」

 特に40代にとっての“あきらめ”は、理想や欲望を追う苦しさから解放してくれる。

「40代は、挫折や失敗などさまざまな経験をして今がある。そろそろそれらを鑑みて“可能性の断捨離”をし、自分にちょうどいいサイズのジャケットを羽織るべきです。それはつまり“できる・できない”を明確にし、自分の軸を持つということ。そうすれば、『誰でも社会の主人公になれる』や『ナンバーワンでなくてもオンリーワンであればいい』といった“社会の毒”に侵されずに済むはずです」

「できないことは、すぐあきらめる」。それが40代の生き方だ。

「可能性を断捨離し、選択肢を少なくした分、自分の特性と環境をマッチングさせやすいですし、ダメそうなら潔く撤退もできます。この勝ちにこだわらない姿勢が、人生を“楽”にしてくれるんです」

 中学2年生の時、通学中に“うんこ”を漏らした山田氏。パンツは洗ったが、周囲が臭いに気づき始め、耐え切れず教室を飛び出し、そのまま引きこもりとなる。

「14歳から20歳までの6年間、まさに社会と断絶。『時は流れる』って言うけど、自分だけ時が流れない中にいる感覚かな。社会にとって価値のない存在、それが僕。だから今でも、社会との繋がりを感じるだけで、満足感がある」

 そんな山田氏にとって「あきらめる=引き分ける」の条件とは。

「個人的には、漫画『花の慶次』の主人公・前田慶次のセリフ『人は日に米は3合、畳は1畳あれば十分』ではないですが、『毎日ご飯が食べられる』だけで、人生に圧勝した気分になれる。ただ、家族を食べさせなあかんから、その欲望はある。まあ、それでも『週に何個か仕事が入っている』や『妻子を連れて、月に何度か外食ができる』ぐらいのことで“ええ感じやな”って思えますけどね」

 数で言えば負け組のほうが多い。だからこそ「“社会の歯車”になることが必要」と、山田氏は続ける。

「妻に顎で使われるのも、会社で窓際に追いやられるのも、社会との接点のひとつに違いはない。幸せ一杯ではないかもしれませんが、不幸のドン底でもない。“社会の歯車”、いいじゃないですか。僕は歯車にもなれない辛さを嫌と味わったので、むしろ羨ましい。成功していない自分、輝いていない自分をあきらめて許してあげるのも、そろそろ必要なのでは」

 引き分けの極意とは「すぐあきらめるべし」「可能性を断捨離すべし」「社会の歯車となるべし」といったところか。

〈取材・文/週刊SPA!編集部〉




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