3.11後、初めて“音楽”を流した番組に込められた想いとは? “ラジオ中毒ライター”村橋ゴローの「アナタの代わりにラジオ聞いときました」<第5回>
“ラジオ中毒ライター”村橋ゴローが、ラジオでの芸能人の気になる発言をピックアップ!
スペシャルウイークが終わったラジオ界ですが、先週は各局とも3月11日に震災特番を放送。まずはそこで一番印象に残った発言から切り取っていきます。今週も、アナタの代わりにラジオ、聞いときました!
『TBSラジオ震災特別番組 そのときかける曲』(3月11日O.A/TBSラジオ)
3月11日にO.Aされた震災特別番組。MCは震災当日、『Dig』でブースのなかに座っていた大根仁さんと外山恵理アナ。3月11日は各局とも震災特番を組むなか、TBSラジオは“そのときかける曲”という、ラジオに最も親密にある音楽にフォーカスを当てた番組をやっていました。’11年、震災が起こった14時46分以降、ラジオはすべて報道特番へ。当時の『キラキラ』、『デイキャッチ』というTBSラジオ定番のお昼の流れも、すべて速報を読み上げるかたちに。そして震災が起きて以来、TBSラジオが初めて曲をかけたのが、当日夜10時からの『Dig』内だったのだ。局によっては、翌日の深夜まで音楽が流れることはなかったそう。それほどまでに、震災当日は音楽がタブーだったのだ。
大根「誰に向けて話せばいいか、わからない状況でした。深刻な被害に合っている方は、ラジオどころじゃないし。ということはラジオを聞いているのは、不安な気持ちで情報を集めている人たち。不安になるような情報ばかりなので、たまには曲でも流そうと」
当時のプロデューサーは、こう思ったという。
プロデューサー氏「大根さんから曲をかけようと提案されたとき、実はとても不安でした。災害以来、TBSで最初に曲を流すことになるからです。家で震えて聞く方がいるなか、それはリスナーに受け入れられるのか? もっといえば、許される行為なのか?」
そして番組内では、3.11当日の番組の音声もO.Aされた。
外山アナ「それではここで曲を1曲」
大根「こういうときのために音楽ってあると思うんでね。ビートルズで、ミスタームーンライト」
なぜ、大根さんはこの曲をセレクトしたのか?
大根「テレビはインパクトの強い災害の映像がついてくるので、物凄く不安になって。でもラジオにはラジオなりのやり方があるんじゃないかな? って。それでどの曲を流すのかってなったときに、インストやクラシックより人の声が聞ける音楽がいい。そうなるともう、ビートルズ以外考えられなかった。あの晩、TBSに来る途中、やけに月がきれいだったんですよ」
また、震災からしばらくは「子どもたちのために」と『アンパンマン』などのアニメ曲がFMでも多く流されたという。ラジオから“音楽”が流れてくる。それはとてつもなく平和で、幸せなことなのかもしれない。
『PAO-N』(3月12日O.A/KBC九州朝日放送)
さてさて、ここからは通常営業のラジオで気になった発言をピックアップ。九州ローカルのラジオ番組『PAO-N』の特徴といえば、何といってもOPで繰り広げられる“前ピン”。この前ピンとは、早口で行われる芸能フラッシュコーナーのことだ。早口で芸能コシップにかけたコーナー紹介が行われるのだが、その内容の“毒っ気”がまあすごい。この番組のO.A前日にテレビで放送された「サンデー・ジャポン」(TBS)に出演し、あまりの激痩せぶりにネット上で心配の声が続出した西川史子先生を「ほぼ歌丸状態の西川史子」と形容。しかも原稿は読み上げる人が考えるのが常らしく、アシスタントの平田たかこさん(ローカルタレント)はどんだけ口が悪いんだって話ですよ!(笑)
また、3月13日O.A時のアシスタントを務めた岩部見梨さん(フリーアナウンサー)の読み上げた原稿もすごかった。
岩部見梨「野球大会の始球式でタレントの稲村亜美が中学生たちにもみくちゃにされたという今日この頃、襲いかかった生徒たちの下半身のバットは稲村以上に神スイングしていたに違いないと確信する私は、あゆ(浜崎あゆみ)に向けた『愛してる』のメッセージを間違ってTwitterで拡散してしまったAAAの浦田直也は今すぐトリプルプレーに改名し、さっさとマウンドから降りるべきだと思うなか……」
改めてひどい(笑)。で、この前ピンの凄いところは、言った内容には一切触れないという点。噛まずに読み上げるか否かだけにスポットが当たり、終わると「今日の仕事はもう終わった~」などと開放感に浸っているほど。いや、内容が気になりすぎるよ! OP直後、1分間繰り広げられる悪口のシャワー、必聴です! 結局、勧めるんかいっ!
大根仁「(3.11当時)ラジオならではのやり方があるんじゃないかなって」

平田たかこ「激ヤセして頬がこけて、ほぼ歌丸師匠状態の女医でタレントの西川史子……」
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