更新日:2022年12月30日 09:53
エンタメ

YOSHIKI×影山ヒロノブ&きただにひろしの奇跡のセッションが照らしたアニソンとジャパメタの未来

「アニメの歌もロックの歌も、境目ってない」

 YOSHIKIは、「アニメの歌もロックの歌も、境目ってないと思うんですけど」と述べた。番組で紹介されたJAM Projectのライヴ映像は、「これ、本当にアニソンのライヴ?」と思えるくらいで、ヘヴィメタル・バンド顔負けのステージパフォーマンスだった。  火柱の立つステージで、JAMのヴォーカリストたちがシャウトし、観客が熱狂する姿を見て、YOSHIKIも、「完全に(筆者注:アニソンとロック&メタルの間の)国境がないんだなーって思います」と述べていた。初めてJAMのライブ映像を見た視聴者も多かっただろう、「メタルだ!」と称賛するコメントが画面を覆った。  実際、JAMのほかにも多くのジャパメタおよびV系バンドがアニソンを手掛けているし、また深夜アニメとV系の勃興時期はどちらも90年代半ば頃であり、さらにアニメとメタルは音楽性以外にも、ゴスロリファッションなどの近しい要素が見られる。

アニソンとV系に熱中する海外のファン

 連載第28回で、影山とYOSHIKIはどちらもアニメ『聖闘士星矢』の主題歌に関わっているという共通点があることを指摘したが、その『聖闘士星矢』がスペイン語圏で人気があるとの話題も出た。  アニメとV系およびメタル系は、オタクと音楽それぞれの専門メディアで取り上げられ、なかなか交わらない。それは昭和時代から続くタコツボ化したコミュニティや専門メディアなどに縛られていたからだろう。  しかし海外では、非常に近しいものと受け取られているようだ。その要因として、筆者はTVアニメ『聖闘士星矢』のOPテーマ「ペガサス幻想」の影響が大きいのではないかと考えている。同楽曲は完璧なアニソンメタルで、手掛けたのはLAZYの後輩バンドのMAKE-UPだ(連載第10回参照)。  『聖闘士星矢』がなぜスペイン語圏で人気があるのかであるが、80年代スペインのメタル・シーンは、結構メロディが強い。1985年に結成されたスパニッシュメタル・バンド=Júpiter(GOLIATHが改名したバンド)は、MAKE-UPと同系統のサウンドだ。

スパニッシュメタル・バンド=Júpiterの2ndアルバム『Radio Rock’N’Roll』(1988年)

 そしてブラジルでは、『聖闘士星矢』は、なんと『ドラゴンボールZ』以上の人気を誇る。連載第15回で紹介したように、ANGRAの2代目ヴォーカリストのエドゥ・ファラスキが「ペガサス幻想」を歌っていることが、メタラーに知られている。
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オタクに対する認識の変化
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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