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YOSHIKI×影山ヒロノブ&きただにひろしの奇跡のセッションが照らしたアニソンとジャパメタの未来

影山ヒロノブの名言の数々

 トークのなかで、影山から、「苦しいときに、周りの人に助けてもらえた」という話が出て、筆者も非常に共感した。影山は多数の名言を連発した。いくつか拾ってみたい。 「長く続けるのって、当然、実力とかもある程度大切なんだろうけど、苦しいときに、周りの人に助けてもらえるような場面があって、今もやっていられるのかなってすごく思います」 「僕、40歳のときにJAMを結成したんですよ。アニメソングが市民権を得る流れのなかで、JAMもすごく大きくなって、海外に行きたかった夢も、例えばLOUDNESSはやってたけど、自分は届かなかったと思っていた武道館のステージも、JAMをやったことによって連れていってもらった。人生ってどこでどうなるのか。面白いなと思います」 「海外の人、とくにアニソンのファンの人は、ヴィジュアルのロックはすごく好きですね。ぼくのフランスの友だちとか、今日のこの番組(YOSHIKI CHANNEL)の情報聞いて、みんな『マジかー!』みたいな」 「自分たちのいるアニメソングが、こんなにすごくたくさんの人たちに受け入れてもらえるようになるってのは、ここ20年ぐらいの出来事なので、そこの中にいて(筆者注:音楽業界の変化を)すごく感じます。普通にJポップのアーティストの方たちも、アニソンのタイアップというと、すごく真剣に今はやってくれるようになって。アニソンやアニメ文化にとって良い時代になったなとすごく思いますね」

YOSHIKIがJAM Projectでピアノを弾く日は近い

 90分の間に、3人のレジェンドによる多くの名言と奇跡のセッションが行なわれ、非常に濃密な番組内容だった。新時代を切り開いている人たちの言葉は新鮮で、また深いものがあった。大まかには、キャリアの長い影山のアニソンに対する重厚な発言があり、きただにがそれを盛り立て、YOSHIKIが笑いを交えながら、視聴者に噛み砕いて伝えるという流れだった。ホスト役としてのYOSHIKIのトーク技術も高く、安心して観ていられた。  筆者は番組を見ながら、本連載でメインテーマとして掲げ、述べてきた内容を裏付けてくれるかのような発言が、3人の口から発せられる度に、画面の前でガッツポーズを繰り返したのであった(笑)。  日本のポップカルチャーの海外進出にあたっては、オタクカルチャーと音楽がクルマの両輪となって、相乗効果で盛り上げていくことが望ましい。それを可能とするのが、海外と近いところで呼吸しながら、異なるポップカルチャーを結びつけているアニソンとジャパメタだろう。  セッション後のトークで、YOSHIKIは、「JAM Projectに呼んでいただければ、ピアノ弾きますよ。今度はちゃんと練習しとこう」と述べた。忘れ去られることがないように、ここに記しておきたい。ファンはその時を待っている!
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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