月収14万円の独身女性38歳、院卒でも激安シェアハウス生活の理由
働く女性の活躍が重視される一方で、日本の女性の貧困化が深刻だ。国立社会保障・人口問題研究所によれば、単身女性の3人に1人が貧困(手取り月収-家賃=8万4999円以下)で、現役世代の多くで相対的貧困率(所得の中央値の半分を下回る人の割合)が男性を上回る。女性が貧困に陥る要因を事例をもとに紹介する。
「急に不安が襲うときがある。仕事もあまりないし、将来の年金も少ないし、風呂も汚くて寒いし……」
偏差値65の有名国立大学出身の林恵美子さん(仮名・38歳)の月収は14万円。高学歴貧困の彼女が低収入でも貯金できるのは生活コストを最小限に抑えているからだ。
住まいは2万4000円のシェアハウス。築30年超の家はあちこち壁が剥がれ、トイレの便座は黄ばんでヒビが入っている。趣味の読書は図書館を利用し、化粧品はダイソーばかり。髪を切るときはカットモデルをやるが「昨日は自分で切っちゃいました」とガタついた毛先を見せた。
不安がつきまとうのは、正社員経験が一度もないという経歴も影響している。修士課程まで学んだ心理学だが、人見知りのため臨床心理士の仕事は向かないと断念。
「興味があったウェブデザインのバイトをしながら、社会人2年目に結婚。でも、33歳のときに夫が精神を病んで突然離婚を突きつけられ、一時はホームレスになりかけました」
キャリアもないまま社会に放り出され、学歴を生かせたのは35歳のとき。人見知りを乗り越え、臨床心理士の資格を取得した。けれども安定した生活には結びつかず、学童保育の巡回相談、発達障害児の支援、カウンセリングという3つの仕事を掛け持ちして今の月収を確保している。
「いろんな相談を受ける仕事だけど、まず自分の生活が大変な世界。臨床心理士って、大学院まで行かなきゃ就けない仕事の割に全然稼げない。私のように30代半ばから非常勤で働き始めても時給は1000円から」
救いなのは、生活は貧しくても友人関係は豊かなこと。シェアハウスのつながりで交友関係は広い。
「貧乏人は知り合いを増やしたほうがいいですよ。いらない家具や服をもらったりして、お金をかけずに生活する知恵がつきました」
仲間がいればギリギリ生き延びられるというのも真実かも。
<ひと月の収支>
月収 14万円
――――――――――
家賃 2万4000円
食費 3万円
光熱費 1万円
通信費 1000円
交通費 1万円
健康保険 1万円
交遊費雑費 2万円
――――――――――
収支+3万5000円
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!1月29日発売号「[オンナの貧困]最前線」特集より
院卒でも時給1000円という苦境

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