更新日:2020年09月11日 14:58
仕事

「サイゼリヤのバイト」を続ける一流シェフ。高級店と兼業する深い理由

アルバイトを始めて知った「サイゼリヤのマニュアル」の凄み

 サイゼリヤでのアルバイト体験は、村山氏にとってまさに目からうろこの連続だったと振り返る。 「サイゼリヤはマニュアルが作り込まれていて、とことん合理化されていました。サイゼリヤのやり方をそのまま取り入れるのはもちろん難しいのですが、うちの店でもできることは積極的に取り入れるようにしたんです。  動線を工夫して歩数や往復を少なくする、キッチンならキッチン、ホールならホールにずっといられるように機材の配置を変える、コミュニケーションの方法を変える……。挙げるとキリがありませんが、300~400はサイゼリヤの仕組みをうち流に落とし込んでいます村山太一 食材やワインの仕入れも、サイゼリヤに習って改善を続けた。 「魚などを現地の漁師さんから直接仕入れるようにしました。たとえば、北海道産のあんこうを豊洲で仕入れると、キロ1万8000円ほどします。ですが、現地の漁師から直接仕入れればキロ500円で買える。あんこう1匹をまるまる仕入れても2500円ぐらいです。しかも、朝獲ったものがその日の夕方には届くので、鮮度はバツグン。仕入れ値は20分の1ほどに減っていますが、鮮度がいいという付加価値があるので、これまでと変わらない値段で提供しています。料理で利益幅を広げながら、うちはワインの値段を抑えました」 村山太一 低価格でおいしいワインを提供するのも、サイゼリヤ仕込みだ。 「本格的な赤ワインのボトルを2200円で提供しているサイゼリヤには勝てませんが、ワインインポーターから直接仕入れることで、1本6000円スタートだった価格を3000円スタートに下げることができました。仕入れ値の3倍の値段を付ける店が多い中、うちは1.2~1.8倍の価格で提供しています。高品質のワインを安く飲めるようにしたことで、ワインをポンポン開けてくれるお客様が増えました(笑)」
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「サイゼ流」を取り入れてみると…
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「レストラン ラッセ」オーナーシェフ。1975年、新潟県十日町市生まれ。三ツ星レストランの「ダル・ペスカトーレ」で副料理長を務めたのち、無印良品有楽町店にある「Cafe&Meal MUJI」勤務。2011年5月、「レストラン・ラッセ」をオープン、9年連続で一ツ星を獲得。 しかしレストラン経営に限界を感じ、2017年よりサイゼリヤ五反田西口店にてアルバイトを開始する
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▼店舗情報 Restaurant L’asse(ラッセ) 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-4-15 ヴェローナ目黒B1 営業時間/ランチ12:00~14:00(L.O.13:00)、ディナー17:30~22:00(L.O.20:00) 定休日/日曜日
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