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「ネトウヨ言論人どもの所業、目に余る」アメリカ大統領選挙/倉山満

ネトウヨメディアに出演する言論人に、言論の正当性などという概念はない

 江崎先生から教わったのは、「トランプは単なるイロモノではないからこそ嫌われている」という事実である。4年前、マグレ当たりと願望で「トランプ当選を言い当てた」とする論者は多くいるが、根拠の確かさに関しては、江崎先生の4年前からの言説を確認してほしい。  トランプ政権の4年間、安倍晋三前首相は良好な関係を築いた。実態は、トランプ個人のご機嫌を取りつつ、エスタブリッシュメントが政権を取り返した時にも備えていただけである。本気で自主防衛をできる力を付けてアメリカを支え、中国と対峙しようなどという気はサラサラ無かった。その証拠に、トランプが「せめて防衛費GDP2%くらいの努力はしてくれ」と求めてきたのを、テキトーにあしらった。安倍内閣を通じて、防衛費は1%未満を墨守している。  民主党の政権奪還を渇望するマスメディアに対し、ネトウヨメディアは「安倍・トランプ同盟」に対し帰依の如き応援を繰り広げた。「マスコミは嘘ばかりだ!」「最後はトランプが絶対に勝つ!!」と言い続けた。理由は簡単で、客であるネトウヨを喜ばせるためである。  そして開票の大勢が判明してからは、「史上空前の不正選挙だ! このようなことが起きるとは思わなかった! アメリカの民主主義は死んだ!」と絶叫し、今も「まだ選挙は終わっていない!」「トランプは逆転している!」と怪しげな出所のフェイクニュースを発信し続けている。あげく、「バイデンに祝電を送るとは、菅首相は何事か! 習近平やプーチンを見習え」と主張する。異常な光景としか、言いようがない。

言論の正当性などという概念はない

 ネトウヨメディアに出演する言論人に、言論の正当性などという概念はない。サービス業の如く、客が望む言論を発するだけだ。そして、職業倫理の無いサービス業として、「客にとって気持ちが良いが、体に悪い」言論を提供し続ける。現在では「バイデンは投票用紙にGPSを仕込んだ」などと、訳の分からない言説を拡散している。それが本当なら、来年のノーベル賞は確実だろう。失笑するしかない。  こうした風潮に対して一線を画していたのが、渡瀬裕哉先生である。渡瀬先生は、アメリカ各州の選挙情勢を郡レベルにまで精査した上で、分析結果を発信し続けた。刻一刻と情勢は変化したが、「トランプが優勢だった瞬間はない」「共和党は上下両院とも苦戦」「郵便投票で不正はあるが、それで結果は揺るがない」である。  それでも、共和党(の保守派)は下院議員選挙で負けたとはいえ、予想外に健闘した。上院選挙は、1月のジョージア州の再選挙で、どちらが過半数を握るかが決まる。むしろ、トランプが足を引っ張ったほどだ。
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菅内閣は選挙中から…
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