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女性の自殺は8割増、男女平等を主張する連中は命懸けで戦ってるのか?/倉山満

女性の自殺が前年比8割増の今、夫婦別姓をやる時か? 経済対策こそが喫緊の課題だろう

 コロナ禍で、現金給付の直後は自殺が激減した。ところが、数か月たつと、激増している。特に女性の自殺は、前年比の8割増とか。異常である。これに対し、日ごろ女性の権利を言っている連中は命懸けで戦わねばならないのではないのか? 今、夫婦別姓をやる時か?  もちろん、自殺には多くの理由がある。生きる希望を失った時に、人は自ら死を選ぶ。そして今回はコロナ禍の影響が大きいのは明らかで、経済問題を放置してよい訳が無かろう。だから、女性の自殺を少しでも減らすための経済政策が求められているのではないのか。  そもそもコロナ禍以前に、なぜ日本は不況から抜け出せないのか。デフレだからである。  経済とは、貨幣とモノのバランスで決まる。過度に貨幣が溢れている状態を悪性インフレと呼ぶ。人体で例えれば焼け死にそうな状態だ。逆に過度にモノが溢れている状態をデフレと呼ぶ。凍え死にそうな状態だ。では適正な状態は? マイルドインフレである。人体で言えば、35~36度の適温である。経済では、2~3%ずつ成長している状態である。  長らく、日本はデフレ状態にある。日本人は勤勉だからモノを作り続けて商品が溢れているが、日銀が発行する貨幣の量が少なすぎた。この状態だと、貨幣は希少品となり、汗水流して働いた商品の価値が下がる。  デフレの解決策は明快で、日銀にお札を刷らせればいい。これに安倍首相は成功し、日銀の金融緩和により景気は劇的な回復軌道に入った。  ところが、安倍首相は財務省に消費増税を押し付けられ、景気を腰折れさせた。税金が上がってモノを買うバカはいない。アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態となった。  結果、緩やかな景気回復は続いたが、中途半端でしかなかった。そして二度目の消費増税に加えて、コロナ禍だ。  現在、即効性のある現金給付で、日本経済は一息ついているが、地獄は少しずつ近づいている。そして、これ以上の金融緩和は意味がないところまで来ているが、止めたら即座にリーマンショックの再現である。

「経済よりもコロナだ!」の大合唱

 現在、「経済よりもコロナだ!」の大合唱だ。要するにパニックだ。こんな状態の時にいくらお金を渡されても使う気になれない。だから、金融緩和や財政出動にも限界がある。  では、どうすれば良いのか。  経済の根幹はマインドである。将来に対して不安だとお金を使うはずがない。そうすると、景気は収縮、弱い者から倒れていく。倒産と失業者と自殺者が増えていく。  だからこそ、問いたい。「コロナよりも経済だ! 外国ではいざ知らず、日本ではコロナの累計死者数よりもひと月の自殺者の方が多い。経済対策こそが喫緊の課題ではないか」と女性の権利を主張する人たちこそ訴えるべきではないのか。  ’98年の大不況では、働き盛りのお父さんの自殺が激増した。私もその中の一人だったかもしれない。だからこそ、苦手の経済問題に関心を持ち、社会で活動するようになった。  経済苦で自殺する人が男だろうと女だろうと、政府の失政による自死は減らすべきだ。  本気で闘う気はあるか?
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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