更新日:2023年12月25日 18:06
エンタメ

M-1制覇の令和ロマン、次世代エースが「伝説」を残した激闘ドキュメント

▼2番手 シシガシラ(敗者復活)

シシガシラ

©M-1グランプリ事務局

 2番手には早速、敗者復活組の登場となった。今年から敗者復活戦のルールが変更。準決勝で敗退した21組が、A、B、Cの3つのブロックに分かれて4分間漫才を披露。会場の審査員により各ブロックの勝者3組が決定。その中から、芸人審査員5人の投票数が一番多かった1組が勝ち上がるというシステム。  Aブロックを「ヘンダーソン」、Bブロックを「ナイチンゲールダンス」が準決勝と同じネタで勝ち上がった。そもそもこの2組は決勝に行ってもおかしくないと思っていたので、当然の結果だったように見えた。  Cブロックは準決勝と違う新たなネタで勝負したことが功を奏し、「シシガシラ」がそのまま敗者復活戦を制することとなった。ツッコミのほとんどない斬新なネタは、決勝の舞台でどのような反応をもたらすのかが楽しみだった。  それが決勝では、準決勝と同じネタに変更する。つかみのハゲネタが決まり、その後はボケ担当浜中君が、コンプライアンスに甘いツッコミ担当脇田君に注意をするももの「ハゲ」を連呼。脇田君は「ハゲは言っていいのー!」と納得していないところで大きな笑いが起きる。基本的にはそれを繰り返す形で進んでいく。  得点627点。塙君は「ハゲネタだけだったので爆発力がなかった」。松本さんは「つかみのハゲネタはよかったが、それ以外のハゲネタはやめておいたらよかったかな」とともに厳しい。彼らが勝ち取った権利だから文句はない。  最終決戦に温存していたかもしれないので何も言えないが、僕自身は敗者復活戦のネタが素晴らしかっただけに「なぜだ」としか思えなかった。敗れた「ヘンダーソン」「ナイチンゲールダンス」が浮かばれない。最終順位は9位となった。

▼3番手 さや香

さや香

©M-1グランプリ事務局

 3番手は昨年の準優勝コンビ「さや香」。ネタはしゃべくり漫才。留学生を家に迎えることを決めたボケ担当石井君だが、留学生エンゾ君の来日が一週間後に迫り、緊張から黙って引っ越そうと思っていることを激白。とんでもない行動に激怒するツッコミ担当新山君。  自分が悪いにもかかわらず、言い訳を繰り返す石井君に、間違いを正そうと意見する新山君もおかしい。この二人のやり取りに爆笑。しかし、来日するエンゾ君にもいろいろ問題があることが発覚し、さらに議論はヒートアップする。揉めれば揉めるほど爆笑がうなりをあげて終了。細かいところに伏線が張られているのもいい。  礼二は「いいしゃべくり。さすが『さや香』やね」と絶賛。大吉さん、ともこ、2人共が「どんどん展開がある」ことを絶賛。90点台が並ぶ中、松本さんだけが「『令和ロマン』を超えていない」と89点と厳しい。得点659点。大本命が第1位に躍り出た。
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カベポスター、マユリカ…
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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